腎移植後患者におけるcovid-19ワクチン副反応と抗体獲得率の関連

【背景】covid-19のmRNAワクチンの副反応には様々な症状が知られる。頭痛、倦怠感などの全身症状と抗体獲得反応との関連が報告されるが、腎移植患者における報告はない。【方法】対象は余丁町クリニック腎移植フォローセンターに通院中の、腎移植後6ヶ月以上経過している患者251名。BNT162b2 、mRNA1273ワクチンのいずれかを患者の意思で選択して投与された。初回接種前、2回目接種前、2回目接種後1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月にSARS-CoV-2に対する抗スパイク蛋白S抗体陽性率および抗体価を調べた。1回目および2回目の接種当日から10日目までの体温、接種部位の赤み、熱感、しこり、疼痛、掻痒、頭...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s269_1
Main Authors 尾本, 和也, 石田, 英樹, 海上, 耕平, 大木, 里花子, 江川, 裕人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s269_1

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Summary:【背景】covid-19のmRNAワクチンの副反応には様々な症状が知られる。頭痛、倦怠感などの全身症状と抗体獲得反応との関連が報告されるが、腎移植患者における報告はない。【方法】対象は余丁町クリニック腎移植フォローセンターに通院中の、腎移植後6ヶ月以上経過している患者251名。BNT162b2 、mRNA1273ワクチンのいずれかを患者の意思で選択して投与された。初回接種前、2回目接種前、2回目接種後1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月にSARS-CoV-2に対する抗スパイク蛋白S抗体陽性率および抗体価を調べた。1回目および2回目の接種当日から10日目までの体温、接種部位の赤み、熱感、しこり、疼痛、掻痒、頭痛、倦怠感の有無、症状の持続日数を記録した。【結果】2回目ワクチン接種後の主な副反応は疼痛(80%)、掻痒(43%)、倦怠感(27%)、頭痛(19%)、熱感(18%)であった。掻痒および頭痛は移植後1年未満の患者群で有意に少なかった(p=0.049、0.03)。2回目ワクチン接種後に倦怠感または頭痛があった患者では3ヶ月および6ヶ月での抗体価が有意に高かった。(p<0.05)ロジスティック回帰分析では、2回目接種後3ヶ月の抗体獲得を予測する因子として、年齢、性別で調整後も2回目接種後の頭痛有が抽出された。【考察、結論】腎移植後患者においてワクチン接種後の全身症状は抗体獲得率と関連する可能性が示された。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s269_1