当院における腎移植後5年の移植腎生検病理組織の検討

[背景]移植腎生検病理組織像は臓器移植に伴う拒絶反応以外にも移植患者特有の病態を反映し経過とともに変化する。[目的]当院における免疫抑制療法プロトコール下における移植腎生検の病理組織像について評価した。[結果]ベースライン(1時間)生検は70名、3か月生検は62名、1年生検は57名、5年生検は23名、エピソード生検は18名(33検体)に施行した。ベースライン生検では動脈硬化、尿細管・間質の線維化、糸球体肥大など非特異的変化が認められ、糸球体IgA沈着例は7名で確認された。3か月生検では拒絶8名(抗体関連型2名、T細胞性拒絶反応6名)、ボーダーライン(BL: 境界型病変)は8名、ポリオーマ腎症(...

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Published in移植 Vol. 58; no. Supplement; p. s336_1
Main Authors 坂巻, 裕介, 香野, 日高, 橋口, 明典, 環, 聡, 桝田, 司, 高橋, 遼平, 萩生田, 純, 徳山, 博文, 中川, 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
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Summary:[背景]移植腎生検病理組織像は臓器移植に伴う拒絶反応以外にも移植患者特有の病態を反映し経過とともに変化する。[目的]当院における免疫抑制療法プロトコール下における移植腎生検の病理組織像について評価した。[結果]ベースライン(1時間)生検は70名、3か月生検は62名、1年生検は57名、5年生検は23名、エピソード生検は18名(33検体)に施行した。ベースライン生検では動脈硬化、尿細管・間質の線維化、糸球体肥大など非特異的変化が認められ、糸球体IgA沈着例は7名で確認された。3か月生検では拒絶8名(抗体関連型2名、T細胞性拒絶反応6名)、ボーダーライン(BL: 境界型病変)は8名、ポリオーマ腎症(PVN)1名、1年生検では拒絶7名(抗体関連型4名、T細胞性拒絶反応3名)、BLは5名であった。THPを伴う尿細管障害像を認め、局所的な尿路系の障害と考えられる症例も散見された。5年生検では拒絶診断例はなく、BL2名、糸球体硬化、尿細管・間質の線維化、非特異的変化が多く認められた。糖尿病性腎症の再発は認められなかった。エピソード生検では抗体関連型11名(14検体)、T細胞性拒絶反応2名、BL3名、IgA腎症が2名(2検体)、C1q沈着1名、PVN1名であった。慢性活動性抗体関連型拒絶4名(6検体)のC4dは陰性であった。プロトコール生検における慢性組織障害スコア(ci、ct、cg、cv)は1年、5年生検で上昇し、hyperfiltrationやsubclinicalな腎障害の関与が示唆された。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s336_1