誘導結合高周波プラズマ発光分光分析法による貝がら中の微量元素の同時定量

誘導結合高周波プラズマ(ICP)を励起光源とする発光分光分析法を用いて,貝がら中の微量元素を同時に定量することを検討した.この分析法では,貝がらに含まれる11元素(リチウム,ナトリウム,カリウム,マグネシウム,ストロンチウム,バリウム,ホウ素,アルミニウム,リン,マンガン,鉄)の定量が可能である.貝がらを構成する主成分元素カルシウムは,測定波長領域全体のバックグラウンド上昇を引き起こし,かつ目的元素のスペクトル線強度を減少させる.そこで,標準試料として高純度炭酸カルシウムに目的元素の既知量を添加した擬似貝がら溶液を用いた.カリウム,アルミニウム及びリンに対しては,マグネシウムに起因するバックグ...

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Published in分析化学 Vol. 28; no. 5; pp. 313 - 318
Main Authors 増田, 富士雄, 平野, 真孝, 小沼, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 1979
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.28.5_313

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Summary:誘導結合高周波プラズマ(ICP)を励起光源とする発光分光分析法を用いて,貝がら中の微量元素を同時に定量することを検討した.この分析法では,貝がらに含まれる11元素(リチウム,ナトリウム,カリウム,マグネシウム,ストロンチウム,バリウム,ホウ素,アルミニウム,リン,マンガン,鉄)の定量が可能である.貝がらを構成する主成分元素カルシウムは,測定波長領域全体のバックグラウンド上昇を引き起こし,かつ目的元素のスペクトル線強度を減少させる.そこで,標準試料として高純度炭酸カルシウムに目的元素の既知量を添加した擬似貝がら溶液を用いた.カリウム,アルミニウム及びリンに対しては,マグネシウムに起因するバックグラウンドの上昇が認められる.この上昇の程度は共存するマグネシウム濃度に比例するので,試料中のマグネシウム量に基づいてこの妨害を補正した.カルシウムを含む標準溶液を用いた定量結果は,標準添加法に基づく結果に一致した.変動係数は各元素とも4%以内である. 本法を用いれば,少量の貝がら試料中の11の微量元素を簡便かつ迅速に定量することができる.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.28.5_313