成績向上のための定型化した膵移植手術、管理
はじめに膵移植手術では、周術期合併症でgraft lossとなることが多く、周術期合併症を減らすことが大切である。定型化した膵移植手術、管理により周術期合併症を予防している。方法膵移植のbench surgeryでは、CIT短縮のため、リガシュアーを使用している。胃十二指腸動脈は上腸間膜動脈からの血流が確認されれば再建を行っていない。SPKでは、膵移植を先行し、膵臓のCITを短縮している。移植膵の門脈を、外腸骨動脈の外側に移動した外腸骨静脈に吻合することにより門脈血栓症予防としている。移植十二指腸は、bench surgeryで移植十二指腸の肛門側を長めに残し、移植膵血流再開した後、産生される...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s199_2 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s199_2 |
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Summary: | はじめに膵移植手術では、周術期合併症でgraft lossとなることが多く、周術期合併症を減らすことが大切である。定型化した膵移植手術、管理により周術期合併症を予防している。方法膵移植のbench surgeryでは、CIT短縮のため、リガシュアーを使用している。胃十二指腸動脈は上腸間膜動脈からの血流が確認されれば再建を行っていない。SPKでは、膵移植を先行し、膵臓のCITを短縮している。移植膵の門脈を、外腸骨動脈の外側に移動した外腸骨静脈に吻合することにより門脈血栓症予防としている。移植十二指腸は、bench surgeryで移植十二指腸の肛門側を長めに残し、移植膵血流再開した後、産生される多量の膵液を長めに残した移植十二指腸内にドレナージすることにより、良好な視野で止血できるだけでなく、移植十二指腸を血流良好な部分で切離できるため、断端からのleakageの予防となる。術後管理では、血栓症予防のため術中から5000単位/日のヘパリンを使用している。免疫抑制剤は、ステロイド、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチルで管理している。タクロリムスは術後1週間は静注で使用し、それ以降は内服としている。タクロリムスはトラフ値で管理しており、8-10 ng/mlを維持している。結果35例の膵移植を行った。5例で膵graft loss (death with functioning graft 3例、移植膵周囲炎1例、慢性拒絶1例) を経験している。当院の定型化した膵移植手術、管理について検討する。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s199_2 |