国内一流走幅跳選手におけるパフォーマンスに影響を与える質的要因と量的要因の関係に関する事例的研究 選手の自己観察内容とバイオメカニクス的分析結果の関係から

「I 緒言」技術はスポーツパフォーマンスに対して大きな影響を与える要因である. したがって, トレーニングの構成, とりわけ, 技術トレーニングの構成においては, その前提として, トレーニングを実施する当該の選手の技術分析が必要不可欠となる. グロッサー・ノイマイヤー(1995, pp. 22-56)は, この技術分析の方法として, スポーツ技術の量的特性を検討する量的研究と質的特性を検討する質的研究の2つを提唱している. スポーツ技術の問題について, バイオメカニクスを中心とした量的研究では, 技術を構成する要因の因果関係を同定し, 当該のスポーツ技術の精密構造を把握することにより, 科学...

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Published in体育学研究 Vol. 54; no. 1; pp. 197 - 212
Main Authors 尾縣, 貢, 越川, 一紀, 青山, 清英, 青木, 和浩, 森長, 正樹, 吉田, 孝久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体育学会 30.06.2009
日本体育学会
Subjects
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ISSN0484-6710
1881-7718
DOI10.5432/jjpehss.a540104

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Summary:「I 緒言」技術はスポーツパフォーマンスに対して大きな影響を与える要因である. したがって, トレーニングの構成, とりわけ, 技術トレーニングの構成においては, その前提として, トレーニングを実施する当該の選手の技術分析が必要不可欠となる. グロッサー・ノイマイヤー(1995, pp. 22-56)は, この技術分析の方法として, スポーツ技術の量的特性を検討する量的研究と質的特性を検討する質的研究の2つを提唱している. スポーツ技術の問題について, バイオメカニクスを中心とした量的研究では, 技術を構成する要因の因果関係を同定し, 当該のスポーツ技術の精密構造を把握することにより, 科学的客観情報を得ることが目指されてきた. これに対して, 質的研究では, ディルタイの意味での解釈学の立場(ダンナー, 1988)を基柢として, 選手の自己観察とコーチの他者観察といった技術観察の方法を用いて, 分析対象者が分析対象となる技術に対してどのような理解をしているのかをとらえることによって, 運動リズムや運動弾性といった質的な運動特性を把握することが目指されてきた(グロッサー・ノイマイヤー, 1995, pp. 22-56).
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.a540104