肺移植周術期の栄養管理

肺移植術前の患者は低体重や骨格筋量減少に基づく栄養障害をきたしている患者が多い。また、肺移植術後は呼吸状態安定までに時間を要すため、人工呼吸管理が長期化しやすく、さらに栄養障害をきたしやすい。栄養摂取の障壁となる理由を具体的に列挙する。まず、気管切開チューブにより嚥下が障害されやすい点が挙げられる。2つ目は、術後早期は薬剤が多いこと、臥床時間が長いこと、呼吸困難、倦怠感などにより食欲不振が遷延しやすい。これらの理由により経口摂取の確立までに日数を要するため、経腸栄養や中心静脈栄養による栄養管理により不足分を補う必要があるが、消化器症状や水分管理の観点から過剰投与にも注意する必要がある。当院では...

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Published in移植 Vol. 58; no. Supplement; p. s132_1
Main Authors 大島, 綾子, 中島, 大輔, 幣, 憲一郎, 原田, 範雄, 伊達, 洋至
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
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Summary:肺移植術前の患者は低体重や骨格筋量減少に基づく栄養障害をきたしている患者が多い。また、肺移植術後は呼吸状態安定までに時間を要すため、人工呼吸管理が長期化しやすく、さらに栄養障害をきたしやすい。栄養摂取の障壁となる理由を具体的に列挙する。まず、気管切開チューブにより嚥下が障害されやすい点が挙げられる。2つ目は、術後早期は薬剤が多いこと、臥床時間が長いこと、呼吸困難、倦怠感などにより食欲不振が遷延しやすい。これらの理由により経口摂取の確立までに日数を要するため、経腸栄養や中心静脈栄養による栄養管理により不足分を補う必要があるが、消化器症状や水分管理の観点から過剰投与にも注意する必要がある。当院では「日本版 重症患者の栄養療法ガイドライン」を参考とした栄養プロトコールを作成し栄養管理を行っている。しかし、肺移植周術期の栄養管理に関し、具体的な必要栄養量を含めた詳細なデータはなく、標準的なガイドラインは提示されていない。当院での取り組みを紹介しながら、今後の肺移植栄養管理のあり方について検討する。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s132_1