Anti-Radio Protective 105を用いた新たなB細胞培養系の確立

【背景】病態を引きおこす抗体産生B細胞の同定は治療戦略において有効であるが、ヒトB細胞の培養は容易ではない。Radio protective 105はTLR familyに属する分子であり、そのアゴニスト抗体(αRP105)はB細胞を強力に活性化させることがマウスで証明されてきた。本研究ではαRP105によるヒトB細胞培養に成功したので報告する。【方法】細胞増殖はCFSE-FCM 、遺伝子発現はsingle cell RNA-seqで解析した。血液型抗体、αGal抗体、αSARS-CoV-2抗体はB細胞をαRP105/CpGDNAで10日間培養した上清をも一いてELISAで評価した。【結果】S...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s235_1
Main Authors 安次嶺, 聡, 小林, 孝彰, 山崎, 達也, 石山, 宏平, 雫, 真人, 岩崎, 研太, 三輪, 祐子, 高村, 祥子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s235_1

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Summary:【背景】病態を引きおこす抗体産生B細胞の同定は治療戦略において有効であるが、ヒトB細胞の培養は容易ではない。Radio protective 105はTLR familyに属する分子であり、そのアゴニスト抗体(αRP105)はB細胞を強力に活性化させることがマウスで証明されてきた。本研究ではαRP105によるヒトB細胞培養に成功したので報告する。【方法】細胞増殖はCFSE-FCM 、遺伝子発現はsingle cell RNA-seqで解析した。血液型抗体、αGal抗体、αSARS-CoV-2抗体はB細胞をαRP105/CpGDNAで10日間培養した上清をも一いてELISAで評価した。【結果】Single RNA-seq解析により、αRP105刺激下では、CD80/83/86といった活性化マーカーやTLR9などの発現上昇が確認できた。αRP105とCpGDNA刺激により、培養上清中に血液型抗体・αGal抗体が確認でき、さらにこれらはαIL-6Rで阻害された。mRNAワクチン接種者より精製したB細胞を用いた培養上清からもαSARS-CoV-2抗体が検出された。【結語】 ヒトB細胞の培養は高コストであり、その成功率も高くない。αRP105は簡便なヒトB細胞培養を可能にした。αRP105はワクチンアジュバンドとしての研究もすすめられており、ヒトB細胞を活性化できると証明された本研究は特異的抗体産生B細胞の同定や、免疫抑制下における移植患者のワクチン研究へ貢献できると考えられる。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s235_1