当院での「物忘れリハビリ」のあり方について
【はじめに】 当院では、軽度認知障害(以下、MCI)や認知症の早期診断を行うとともに、進行の予防や症状の改善を目的とし、平成15年9月から物忘れリハビリを実施している。今回は、物忘れリハビリの流れを紹介したうえで、その中でのOTの関わりを報告する。 【物忘れリハビリの流れ】 初診時、外来にて臨床心理士がスクリーニングテストを実施し、その後、医師が診察する。ここで、認知症の疑いが高い場合、数日間にわたり各種検査を実施する。2回目来院時、Clnical-Dementia―Ratng(以下、CDR)をもとにした質問紙に本人と家族が解答する。3回目来院時、MRI画像診断において、海馬の萎縮やVSR...
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Published in | 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 Vol. 2007; p. 90 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
九州理学療法士・作業療法士合同学会
2007
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0915-2032 2423-8899 |
DOI | 10.11496/kyushuptot.2007.0.90.0 |
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Summary: | 【はじめに】 当院では、軽度認知障害(以下、MCI)や認知症の早期診断を行うとともに、進行の予防や症状の改善を目的とし、平成15年9月から物忘れリハビリを実施している。今回は、物忘れリハビリの流れを紹介したうえで、その中でのOTの関わりを報告する。 【物忘れリハビリの流れ】 初診時、外来にて臨床心理士がスクリーニングテストを実施し、その後、医師が診察する。ここで、認知症の疑いが高い場合、数日間にわたり各種検査を実施する。2回目来院時、Clnical-Dementia―Ratng(以下、CDR)をもとにした質問紙に本人と家族が解答する。3回目来院時、MRI画像診断において、海馬の萎縮やVSREDで海馬傍回の萎縮を解析する。また、SPECT で脳血流を評価し、3D _SSPを用いて当院のデータベースにて解析する。そして、J-COSMIC 認知症の早期診断に関する研究を参考に診断する。 【対象者】 上記の検査の結果から、MCIと軽度から中等度アルツハイマー型認知症と診断された方を対象に、物忘れリハビリで関わっている。当院外来通院が一人で可能な方、または家族やヘルパーによる送迎が可能な方を条件とする。平成19年4月現在登録者数27名で、アルツハイマー型認知症の方が22名、脳血管性認知症の方が5名である。平均年齢は75歳である。 【物忘れリハビリの内容について】 毎週月、水、木曜日の午前中に実施しており、医療保険の外来個別リハビリ訓練で算定している。1回のセッションは、参加者10名程度が上限であり、主にOTとNsで関わっている。OTでは、学習療法、右脳トレーニング、回想法を主に実施している。特に工夫した点は、文章を音読する課題を、参加者全員で、同時に読み始め、個別に所要時間を計測し、周囲と同一感を持てるよう、同じ環境のもと同じ課題を全員同時に行っている。また、右脳の賦活のための問題等を2人グループで解き、仲間意識を高めている。この時、中核症状に働きかけるような問題を提示している。さらに、生活状況を把握するために、連絡帳にCDRを踏まえた項目を載せ、家族に記載してもらう事や、家族との関わりとして、認知症介護教室を月に1回、屋外レクレーションを年に2回実施している。その他、送迎時や昼食を共に摂るなどして家族と直接話す環境も設けている。 【今後の課題について】 現在、物忘れリハビリの有効性をを検索する目的で、半年毎に、前頭葉機能評価(FAB)を等を実施し、生活状況の把握のために連絡帳を利用しているが、より個人の能力に応じた関わりを展開し、効果のある内容をしていく上でも更なる検証が必要であると考える。 |
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Bibliography: | 103 |
ISSN: | 0915-2032 2423-8899 |
DOI: | 10.11496/kyushuptot.2007.0.90.0 |