本邦におけるKidney Exchange Program(KEP)のニーズに関するアンケート調査の結果
【背景】DSAに対し,脱感作療法によっても腎移植を回避せざる得ない免疫学的ハイリスク条件(Direct Cx T-warm陽性など)がある.海外ではDSA陽性腎移植に対し,積極的にドナー交換腎移植(KEP)が実施されることがあり,本邦においてそのニーズを調査した.【方法】2022年1-3月に腎移植実施131施設に記名式のWebアンケートを実施した.【結果】107施設(81.7%)より回答が得られた.2012-2021年の10年間で,本邦で257組の生体腎移植候補が免疫学的ハイリスクを理由に移植断念していた.断念理由の87.3%がDirect Cx T-warm陽性であった.76施設(71.0%...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s123_1 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s123_1 |
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Summary: | 【背景】DSAに対し,脱感作療法によっても腎移植を回避せざる得ない免疫学的ハイリスク条件(Direct Cx T-warm陽性など)がある.海外ではDSA陽性腎移植に対し,積極的にドナー交換腎移植(KEP)が実施されることがあり,本邦においてそのニーズを調査した.【方法】2022年1-3月に腎移植実施131施設に記名式のWebアンケートを実施した.【結果】107施設(81.7%)より回答が得られた.2012-2021年の10年間で,本邦で257組の生体腎移植候補が免疫学的ハイリスクを理由に移植断念していた.断念理由の87.3%がDirect Cx T-warm陽性であった.76施設(71.0%)の施設が少なくとも1例の免疫学的ハイリスクによる移植断念症例を経験していた.また,66施設(61.7%)が本邦でもKEPは必要と考えていた.【今後の展望】DSA陽性腎移植に対し脱感作療法に積極的な本邦でも,克服しがたい免疫学的ハイリスク腎移植症例が多く存在し,KEPのニーズがあることが明らかとなり,KEPはDSA陽性腎移植における有用なAMR予防戦略の一つであると考えられる.本アンケート結果から多施設共同研究(2次研究)を開始した.2次研究では,移植不成立となった症例のデータを収集,KEPシミュレーションを実施し,本邦でKEPを実施した場合,DSAを回避してどのくらいの腎移植が成立するのかを検証する. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s123_1 |