5 類型施設からみた円滑な臓器提供体制への取り組み

いわゆる五類型施設で脳神経集中治療を担当する救急医、脳外科医、麻酔科医、集中治療医、神経内科医、及び小児科医は脳死下臓器提供数を増加させる立場ではない。しかし、治療の過程で脳死となった患者の事前意思やその家族の意思が脳死下臓器提供を希望している場合は、その想いを実現することが医療者としての責務と考える。一方、脳死下臓器提供時には様々な課題が存在し、脳死下臓器提供数が海外と比較すると少ないの原因の一端であると言われている。これらの課題を解決するために臓器提供側になる関連学会、臓器移植関連学会協議会、および厚労科研研究班が解決に向けた方策や、手順の見直し、脳死判定時の支援体制等を提案し、多くの成果...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 55; no. Supplement; p. 235_2
Main Author 横田, 裕行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
The Japan Society for Transplantation
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Summary:いわゆる五類型施設で脳神経集中治療を担当する救急医、脳外科医、麻酔科医、集中治療医、神経内科医、及び小児科医は脳死下臓器提供数を増加させる立場ではない。しかし、治療の過程で脳死となった患者の事前意思やその家族の意思が脳死下臓器提供を希望している場合は、その想いを実現することが医療者としての責務と考える。一方、脳死下臓器提供時には様々な課題が存在し、脳死下臓器提供数が海外と比較すると少ないの原因の一端であると言われている。これらの課題を解決するために臓器提供側になる関連学会、臓器移植関連学会協議会、および厚労科研研究班が解決に向けた方策や、手順の見直し、脳死判定時の支援体制等を提案し、多くの成果物も公表してきた。また、厚労科研研究班では脳死患者だけでなく急性期疾患の重症患者とその家族の心理的サポートを行い、時に患者家族の意思決定支援も行うことができる入院時重症患者対応メディエーター(仮称)の重要性を考え、テキスト作成、人材育成を目的としたセミナーも開催している。さらに、脳死下臓器提供した場合の医師に最も大きい負担とされる検証フォーマット作成の修正版を提案した。五類型施設の視点から脳死下臓器提供時の課題解決に向けての取り組みや体制整備等により、脳死下臓器提供がより日常の医療として定着することが期待されている。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.Supplement_235_2