じん肺患者におけるテオフィリンの投与量と血中濃度に関する検討 各種体内動態変動要因の現れ方の差に関して

「緒言」じん肺症においては, 時に発作性に喘鳴を伴った呼吸困難を呈し, その臨床症状は気管支喘息と鑑別し難いが, このような症状に対して気管支喘息と同様にテオフィリン(TP)が広く使われている. しかし, じん肺症に対するTPの効果については, 呼吸抵抗の改善作用に関する報告1)はあるが, 病態生理学的効果に関する知見に乏しい. これは, じん肺症における胸部および気管の形態的多様性が一因と考えられる. 一方, TPの体内動態に関しては, その変動要因として喫煙, 年齢, 併用薬, 合併症(肝硬変, 心不全等)等が知られており, このうち合併症には肝硬変, 心不全2)等の他に肺炎3), 慢性閉...

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Published in医療薬学 Vol. 28; no. 1; pp. 63 - 67
Main Authors 五藤, 雅博, 新美, 全剛, 小倉, 秀樹, 竹中, 伸治, 加藤, 満, 岡田, 啓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.02.2002
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.28.63

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Summary:「緒言」じん肺症においては, 時に発作性に喘鳴を伴った呼吸困難を呈し, その臨床症状は気管支喘息と鑑別し難いが, このような症状に対して気管支喘息と同様にテオフィリン(TP)が広く使われている. しかし, じん肺症に対するTPの効果については, 呼吸抵抗の改善作用に関する報告1)はあるが, 病態生理学的効果に関する知見に乏しい. これは, じん肺症における胸部および気管の形態的多様性が一因と考えられる. 一方, TPの体内動態に関しては, その変動要因として喫煙, 年齢, 併用薬, 合併症(肝硬変, 心不全等)等が知られており, このうち合併症には肝硬変, 心不全2)等の他に肺炎3), 慢性閉塞性肺疾患4)等の肺疾患も知られている. じん肺は拘束性肺疾患であり呼吸機能が低下していることよりTPの体内動態への影響が考えられるが, じん肺患者におけるTPの体内動態に関してもほとんど報告がない. 先にわれわれは, じん肺患者におけるTPの体内動態がぜん息患者と差がないことを報告した5)が, じん肺という複雑な病態下におけるTPの体内動態に関してはさらに詳細な研究が必要と考えた. そこで, 今回は, じん肺患者におけるTP体内動態にその変動要因がいかに関わるか, TP体内動態への変動要因の現れ方の差に関して検討した.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.28.63