職種の特性を活かすための院内ドナーコーディネーターの役割

当院では2007年に移植医療支援室が設置され、主に臓器・組織提供の支援を行う役割を担ってきた。現在、院内ドナーコーディネーターは20名設置されており、医師、看護師、臨床検査技師など多職種で活動を行い、これまで脳死下臓器提供8例、心停止後臓器提供7例、組織提供(臓器と同時提供含む)10例を経験した。臓器・組織提供は、急性期における終末期医療の充実の一助であるため、移植医療支援室では終末期に至る過程の段階から予め情報を共有し、家族が終末期の意思決定を行う段階に至れば連絡を受けて、遅滞なく家族の意向に沿った対応が出来るように努めている。その中心を担う院内ドナーコーディネーターは、医学的適応、社会的適...

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Published in移植 Vol. 56; no. Supplement; p. s429
Main Authors 中村, 晴美, 縄田, 寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
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Summary:当院では2007年に移植医療支援室が設置され、主に臓器・組織提供の支援を行う役割を担ってきた。現在、院内ドナーコーディネーターは20名設置されており、医師、看護師、臨床検査技師など多職種で活動を行い、これまで脳死下臓器提供8例、心停止後臓器提供7例、組織提供(臓器と同時提供含む)10例を経験した。臓器・組織提供は、急性期における終末期医療の充実の一助であるため、移植医療支援室では終末期に至る過程の段階から予め情報を共有し、家族が終末期の意思決定を行う段階に至れば連絡を受けて、遅滞なく家族の意向に沿った対応が出来るように努めている。その中心を担う院内ドナーコーディネーターは、医学的適応、社会的適応、家族の受容など多角的な視点から適応を確認する。その過程では各専門職や院外関係者とも連携を取り、専門領域からの意見を集約したうえでの安全な臓器・組織提供を支援することが主要かつ重要な使命である。当移植支援施設は、このように院内ドナーコーディネーターが潤滑油として連携活動を行うことで、主治医や担当看護師が患者の治療や家族ケアに集中する事ができ、ひいては急性期の終末期医療の充実に繋がるような体制の確立を目指している。移植医療は言わば究極のチーム医療であり、多職種の協力があって初めて成り立つ医療である。多職種間連携をもって安全な臓器・組織提供を実施するための取り組みの実際を報告する。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.Supplement_s429