自動車排ガス浄化触媒を起源とする大気環境希少微粒子の迅速検出法の開発
近年,分析技術の発展に伴い,自動車排ガス浄化触媒成分である白金族元素(PGE)を含有する粒子が大気環境中に放出されているという結果が報告された.これらのPGE含有粒子が人体や環境に悪影響を及ぼす可能性が指摘されている.しかし,大気環境微粒子に含まれるPGEの濃度はppt~ppbオーダーであるため,PGE含有粒子の検出は極めて困難である.そのため,いまだ環境中のPGE粒子に関する情報は欠落しており,その環境リスクを評価することが困難となっている.現在,環境中のPGE粒子は誘導結合プラズマ質量分析法などを用いて捕集試料中に含まれる平均濃度の評価はなされているが,粒子個々に対する評価はなされていない...
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Published in | 分析化学 Vol. 54; no. 10; pp. 991 - 996 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本分析化学会
2005
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ISSN | 0525-1931 |
DOI | 10.2116/bunsekikagaku.54.991 |
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Summary: | 近年,分析技術の発展に伴い,自動車排ガス浄化触媒成分である白金族元素(PGE)を含有する粒子が大気環境中に放出されているという結果が報告された.これらのPGE含有粒子が人体や環境に悪影響を及ぼす可能性が指摘されている.しかし,大気環境微粒子に含まれるPGEの濃度はppt~ppbオーダーであるため,PGE含有粒子の検出は極めて困難である.そのため,いまだ環境中のPGE粒子に関する情報は欠落しており,その環境リスクを評価することが困難となっている.現在,環境中のPGE粒子は誘導結合プラズマ質量分析法などを用いて捕集試料中に含まれる平均濃度の評価はなされているが,粒子個々に対する評価はなされていない.よって,希少粒子であるPGE含有粒子を,既存の電子線プローブマイクロアナリシス(EPMA)を用いて粒子個々に分析する方法を提案する.すなわち,EPMAの相補的特徴を持つ検出器である波長分散X線分析器とエネルギー分散X線分析器を用いてスペクトル測定を行い,両者を比較することによって,希少粒子であるPGE含有粒子を比較的容易に効率的に検出する希少粒子迅速検出法を考察した.また,理論式及び実測の信号強度から希少粒子検出法の条件を検討した.提案した検出法を用いて,排ガス捕集試料中から数個の自動車排ガス浄化触媒起源粒子及びPGE含有粒子をとらえ,この検出方法が極めて有用な方法であることを示した. |
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ISSN: | 0525-1931 |
DOI: | 10.2116/bunsekikagaku.54.991 |