生体腎移植におけるドナーの生活習慣病因子の影響
【緒言】生体腎移植ドナーは良好な身体状態であることが多い。しかし、ドナーの高齢化に伴いガイドラインの範囲内でも生活習慣病の状態であることも少なくない。今回、生活習慣病の因子を有するドナーによる生体腎移植の検討を行った。【対象と方法】愛媛大学で2012年以後に施行した生体腎移植96例を対象とした。初診時において①脂質異常症(高中性脂肪血症(150 mg/dL以上)かつ/または高LDLコレステロール血症(140 mg/dL以上))②HbA1c 6.2%以上③CT volumetryで臍レベルの内臓脂肪面積100 cm2以上④降圧剤を2剤以上服用している、の4項目を生活習慣病因子とした。そのうち2項...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 56; no. Supplement; p. s473 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2021
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.56.Supplement_s473 |
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Summary: | 【緒言】生体腎移植ドナーは良好な身体状態であることが多い。しかし、ドナーの高齢化に伴いガイドラインの範囲内でも生活習慣病の状態であることも少なくない。今回、生活習慣病の因子を有するドナーによる生体腎移植の検討を行った。【対象と方法】愛媛大学で2012年以後に施行した生体腎移植96例を対象とした。初診時において①脂質異常症(高中性脂肪血症(150 mg/dL以上)かつ/または高LDLコレステロール血症(140 mg/dL以上))②HbA1c 6.2%以上③CT volumetryで臍レベルの内臓脂肪面積100 cm2以上④降圧剤を2剤以上服用している、の4項目を生活習慣病因子とした。そのうち2項目以上が41例(A群)、1項目が28例(B群)、当てはまらなかったのが27例(C群)であった。【結果】年齢は各群間に有意な差を認めなかったが、A群で男性が多かった。残腎体積はA群で有意に大きかった。提供腎の体積には有意な差はなかった。レシピエントはC群で有意に高齢であり、夫婦間移植が多かった影響と考えられた。レシピエントに性差の有意な差はなかった。移植後ドナー腎機能は5年後において、A群がC群より有意に劣っていた。またレシピエントの腎機能は3ヶ月後、1年後でA群、B群が有意にC群より劣っていた。また初回生検時の糸球体硬化はA群がC群より有意に多かった。【結論】生活習慣病因子を有するドナーでは移植腎機能の悪化が見られ、また文献的にはドナーの腎予後も不良になるため、注意が必要である。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.56.Supplement_s473 |