適正な処方作成に及ぼす薬品情報の効果: ニューキノロン剤と金属カチオン含有薬剤との相互作用に関する薬品情報を例にして
「緒言」 医師の適切な処方作成を支援するためには, 処方作成上の問題点(薬物間相互作用など)とその解決法に関する薬品情報の構築と提供, およびその情報に基づく処方鑑査が病院薬剤師の重要な業務の一つとなる. しかし提供された薬品情報に対する医師の認識と理解の程度は過去に解析されていない. 本研究では我々が構築し提供した薬物間相互作用に関する薬品情報が医師の適切な処方作成に及ぼす効果について調査した. 薬物間相互作用の例としては, 最近注目されているニューキノロン剤と金属カチオン含有薬剤を同時に服用した場合のニューキノロン剤の腸管吸収の減弱に起因する血中濃度の低下を取り上げた. ニューキノロン剤の...
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Published in | 病院薬学 Vol. 19; no. 3; pp. 255 - 259 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本医療薬学会
1993
日本病院薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0389-9098 2185-9477 |
DOI | 10.5649/jjphcs1975.19.255 |
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Summary: | 「緒言」 医師の適切な処方作成を支援するためには, 処方作成上の問題点(薬物間相互作用など)とその解決法に関する薬品情報の構築と提供, およびその情報に基づく処方鑑査が病院薬剤師の重要な業務の一つとなる. しかし提供された薬品情報に対する医師の認識と理解の程度は過去に解析されていない. 本研究では我々が構築し提供した薬物間相互作用に関する薬品情報が医師の適切な処方作成に及ぼす効果について調査した. 薬物間相互作用の例としては, 最近注目されているニューキノロン剤と金属カチオン含有薬剤を同時に服用した場合のニューキノロン剤の腸管吸収の減弱に起因する血中濃度の低下を取り上げた. ニューキノロン剤の血中濃度は制酸剤や消化性潰瘍用剤に含まれるアルミニウム, マグネシウム, およびカルシウム, 鉄などの金属カチオンと共に服用すると有意に低下し, 十分な抗菌効果が得られない場合もあると報告されている1). この相互作用を回避するためには, 服薬時期を調節する方法および代替薬を選択する方法が考えられる1~3). |
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ISSN: | 0389-9098 2185-9477 |
DOI: | 10.5649/jjphcs1975.19.255 |