腎移植術後の移植尿管狭窄症の検討

(はじめに)腎移植における手術合併症の中で最も多いものは尿路合併症であることが知られている。萎縮膀胱や糖尿病、周術期の免疫抑制剤大量投与、尿管血流障害、吻合部の浮腫等が原因と考えられている。腎移植術後の尿管狭窄症について検討した。(対象)当院でフォローしている腎移植後患者で尿管狭窄症に対して経尿道的尿管カテーテル挿入術、尿管拡張術を施行した7例について検討した。全例生体腎移植後でLich-Gregoir法による尿管膀胱新吻合後である。(結果)2014年以降当院で施行した生体腎移植57例中6例(10.5%)に尿管狭窄が発生した。原因はリンパ嚢腫による圧迫1例、術後血腫による圧迫が1例、不明が5例...

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Published in移植 Vol. 56; no. Supplement; p. s516
Main Authors 香野, 日高, 環, 聡, 宍戸, 偉海, 桝田, 司, 萩生田, 純, 井上, 博之, 坂巻, 裕介, 中川, 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
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Summary:(はじめに)腎移植における手術合併症の中で最も多いものは尿路合併症であることが知られている。萎縮膀胱や糖尿病、周術期の免疫抑制剤大量投与、尿管血流障害、吻合部の浮腫等が原因と考えられている。腎移植術後の尿管狭窄症について検討した。(対象)当院でフォローしている腎移植後患者で尿管狭窄症に対して経尿道的尿管カテーテル挿入術、尿管拡張術を施行した7例について検討した。全例生体腎移植後でLich-Gregoir法による尿管膀胱新吻合後である。(結果)2014年以降当院で施行した生体腎移植57例中6例(10.5%)に尿管狭窄が発生した。原因はリンパ嚢腫による圧迫1例、術後血腫による圧迫が1例、不明が5例であった。尿管狭窄をきたした時期は術後3週間が1例、2か月が1例、3か月が3例、6か月が1例、13年が1例であった。術後血腫の1例は尿管拡張術を繰り返しても軽快せず、後日移植腎盂自己尿管吻合術を必要とした。3例は現在も尿管カテーテル留置のままである。経皮的腎瘻を要した症例は1例もなかった。(まとめ)移植尿管へのカテーテル挿入は、尿管口の位置が通常と異なるため挿入困難である事が多い。原因不明の症例が多く、腎移植後長期が経過しているにもかかわらず尿管狭窄をきたした症例もあった。尿管拡張術を施行しても狭窄が改善しない場合は開腹手術が必要となるため、尿管狭窄を起こしにくい方法を検討していきたい。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.Supplement_s516