新型コロナウイルス感染症蔓延下における日本臓器移植ネットワークの取り組みと課題
2020年からの新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の国内蔓延に伴い、臓器提供や移植の現場において多大な影響を及ぼしている。日本臓器移植ネットワークにおいては、2020年2月の早い段階から順次対策を立てて対応しており、COVID-19 感染症蔓延下の臓器提供時におけるリスクを整理しリスク低減策を講じてきた。特にコーディネーター(Co)においてはあっせん事例発生時に提供施設派遣は避けられないため、あっせん活動の制限や停止の可能性も含め様々なリスクについて検討し、基本的感染対策や健康管理表の作成をはじめ、早期のワクチン接種等のリスク低減策を講じてきた。一方で厚生労働省、提供施設、各学会等外...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 56; no. Supplement; p. s142 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2021
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.56.Supplement_s142 |
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Summary: | 2020年からの新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の国内蔓延に伴い、臓器提供や移植の現場において多大な影響を及ぼしている。日本臓器移植ネットワークにおいては、2020年2月の早い段階から順次対策を立てて対応しており、COVID-19 感染症蔓延下の臓器提供時におけるリスクを整理しリスク低減策を講じてきた。特にコーディネーター(Co)においてはあっせん事例発生時に提供施設派遣は避けられないため、あっせん活動の制限や停止の可能性も含め様々なリスクについて検討し、基本的感染対策や健康管理表の作成をはじめ、早期のワクチン接種等のリスク低減策を講じてきた。一方で厚生労働省、提供施設、各学会等外部からのCOVID-19関連の要請に都度協議や調整を行い対応してきた。ドナーのCOVID-19 検査については、各事例において提供施設主治医と調整し、承諾97事例(2020年4月~2021年5月、不成立事例含む)中98%で核酸検出検査または抗原定量検査を実施しあっせんに至っている。また、吸引痰での検査実施へ移行協議中である。提供施設からは、MCや摘出チーム等外部からの立ち入りに関して、健康管理表や問診票の提出、流行地域からの立ち入り制限や人数最少化、COVID-19 検査の実施等の要請を受け対応している。臓器摘出の互助制度利用時の臓器搬送については、Coによる搬送の実施及び搬送委託企業の体制を整備した。COVID-19 感染症蔓延下における安全なあっせんについて具体的事例を交えて取り組みと課題について発表する。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.56.Supplement_s142 |