肝移植後の抗体関連拒絶の新たな予防戦略:HLAエピトープ適合度によるde novo DSA発生予測

【背景】肝移植後抗体関連拒絶の確立された治療法はなくde novo (dn) DSA発生予防が重要となる。発生因子としてエピトープ(Ep)レベルでのHLA適合度が注目されているが不明な点も多い。【方法】2010-2019年の小児生体肝移植165例中preformed DSA陽性例を除き、HLA-A/B/C/DR/DQ座のアレルが入手可能で、移植後6ヶ月生存した144例を対象。HLA-Ep適合度はHLA Matchmakerで解析、ミスマッチ数(MM)のcut-offはROC曲線で決定、DR/DQ座におけるdnDSA発生因子につき検討した。【結果】観察期間(1983±973日)中、dnDSAは5...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 56; no. Supplement; p. s547
Main Authors 伊藤, 孝司, 平田, 真章, 波多野, 悦朗, 進藤, 岳郎, 川口, 淳, 八木, 真太郎, 羽賀, 博典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.56.Supplement_s547

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Summary:【背景】肝移植後抗体関連拒絶の確立された治療法はなくde novo (dn) DSA発生予防が重要となる。発生因子としてエピトープ(Ep)レベルでのHLA適合度が注目されているが不明な点も多い。【方法】2010-2019年の小児生体肝移植165例中preformed DSA陽性例を除き、HLA-A/B/C/DR/DQ座のアレルが入手可能で、移植後6ヶ月生存した144例を対象。HLA-Ep適合度はHLA Matchmakerで解析、ミスマッチ数(MM)のcut-offはROC曲線で決定、DR/DQ座におけるdnDSA発生因子につき検討した。【結果】観察期間(1983±973日)中、dnDSAは59例に発生、5年累積発生率は45%であった。HLA座別ではclassⅠ 9例、DR 38例、DQ 43例であった。抗体関連拒絶は5例でみられた。DR/DQ-dnDSAとグラフト生存とは相関しなかった。DR/DQアレルの1座MMを121例/110例で認めたが、この中でもEpMM数はDR座で13±9個(0-42)、DQ座で6±4個(0-16)と広く分布した。1アレルMMであってもDR EpMM≧7とDQ EpMM≧7はDSA発生と相関(p=0.026/0.0001)し層別化できた。多変量解析でもDR/DQ-dnDSAは以下の因子と相関した。DR:EpMM≧7(HR 4.83, p=0.0011)および免疫抑制剤減量歴(HR 2.26, p=0.013)、DQ:EpMM≧6(HR 6.31, p<.0001),GRWR>1.4(HR 2.65, p=0.02),血液型不適合(HR 0.19, p=0.025),ドナー年齢>40歳(HR 2.08, p=0.03)。【結語】肝移植後dnDSA発生予測においてHLAエピトープは同アレルより優れたバイオマーカーとなりうる。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.Supplement_s547