当科における腎移植後慢性活動性T細胞性拒絶反応(CA-TCMR)の検討

【背景】2017年のBanff分類よりi-IF/TAや尿細管炎の程度に代表される慢性活動性T細胞性拒絶反応(CA-TCMR)というテゴリーが導入されたが、その予後や治療効果については明らかではない。【対象・方法】当科で腎移植を行い、2018年から2020年12月までに移植腎生検でCA-TCMRと診断された34例を後方視的に検討した。【結果】診断時の平均年齢は45.1才、移植後16.7ヶ月、発見契機はepisode生検が16例(47%)であった。4例が廃絶しており、診断後の一年生着率は86.8%であった。30例にステロイドパルス、サイモグロブリン、維持免疫抑制剤変更/増量治療の単独または併用によ...

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Published in移植 Vol. 56; no. Supplement; p. s113
Main Authors 野口, 浩司, 植木, 研次, 松隈, 祐太, 土本, 晃裕, 加来, 啓三, 中村, 雅史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
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Summary:【背景】2017年のBanff分類よりi-IF/TAや尿細管炎の程度に代表される慢性活動性T細胞性拒絶反応(CA-TCMR)というテゴリーが導入されたが、その予後や治療効果については明らかではない。【対象・方法】当科で腎移植を行い、2018年から2020年12月までに移植腎生検でCA-TCMRと診断された34例を後方視的に検討した。【結果】診断時の平均年齢は45.1才、移植後16.7ヶ月、発見契機はepisode生検が16例(47%)であった。4例が廃絶しており、診断後の一年生着率は86.8%であった。30例にステロイドパルス、サイモグロブリン、維持免疫抑制剤変更/増量治療の単独または併用による治療が行われた。それらの治療後13例に確認生検を行ったところ、4例はCA-TCMRの所見が残存し、5例がborderline change、4例が拒絶の所見であった。治療効果に対する診断時のリスク因子についての単変量解析では、episode生検で診断されたもの、移植後の期間が長いもの、尿蛋白クレアチニン比高値、eGFR低値が有意であった(それぞれP=0.0003, P=0.001, P=0.0006, P=0.0244)。【結語】腎機能に影響を認めない早期に診断されたCA-TCMRに関しては、積極的な治療を行うことで病理所見が改善する傾向にあり、その後の生着率向上につながる可能性が示唆された。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.Supplement_s113