エベロリムス併用導入免疫抑制療法による移植腎予後改善
目的:移植腎長期成績改善のためには慢性抗体関連型拒絶反応(CAAMR)を含めた慢性変化の克服が必要である。当科におけるエベロリムス(EVR)を用いた導入免疫抑制療法の成績を検討した。 方法:2010年以降当科で移植前抗ドナー抗体(DSA)を有さず腎移植し3年以上の観察期間を有する成人例を対象とし、導入免疫抑制でEVRを使用したEVR群(n=47)と使用しなかったSTD群(n=55)で移植後6か月, 1,2,3,5年でEVRとタクロリムストラフレベル(TACC0)、ミコフェノール酸(MPA)AUC、推算糸球体濾過率(eGFR)、尿蛋白1日量(uP)、プロトコル生検におけるaahスコア、6か月以内...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 56; no. Supplement; p. s309 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2021
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.56.Supplement_s309 |
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Summary: | 目的:移植腎長期成績改善のためには慢性抗体関連型拒絶反応(CAAMR)を含めた慢性変化の克服が必要である。当科におけるエベロリムス(EVR)を用いた導入免疫抑制療法の成績を検討した。 方法:2010年以降当科で移植前抗ドナー抗体(DSA)を有さず腎移植し3年以上の観察期間を有する成人例を対象とし、導入免疫抑制でEVRを使用したEVR群(n=47)と使用しなかったSTD群(n=55)で移植後6か月, 1,2,3,5年でEVRとタクロリムストラフレベル(TACC0)、ミコフェノール酸(MPA)AUC、推算糸球体濾過率(eGFR)、尿蛋白1日量(uP)、プロトコル生検におけるaahスコア、6か月以内の急性拒絶反応(AR)、3年以内のde novo DSAとCAAMR、CMV感染症、その他感染症、移植後新規糖尿病(NODAT)、スタチン介入頻度について比較した。 結果:EVRC0は4-5ng/mLで経過し、TACC0は1年目まではEVR群で低かったが、2年以降はレジメン設定通りに減量されずにSTD群と同等だった。MPAは3年目までEVR群で低かった。eGFR、尿蛋白には差がみられなかった。ARの頻度はEVR群で低い傾向がありde novo DSA, CAAMRともにEVR群は皆無だった。aahスコアにも2群間差がなかった。CMV感染症はEVR群で少なかったが、他の感染症頻度は差がなかった。NODAT及びスタチン介入頻度はEVR群で高かった。EVR群16例で3年以内にEVR中止となったがその原因はEVR中止によりいずれも改善した。 結語:DSA、CAAMRの抑制による予後改善が期待される。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.56.Supplement_s309 |