生体ドナー肝切除の術後胆汁漏をゼロにするために:Gissonean approach + liver hanging maneuver法の有用性

【背景】生体ドナー肝切除の術後胆汁漏の根絶を目指し,当科では2017年よりglissonean approach + liver hanging maneuver法(GA+LHM法)を導入した.【方法】GA+LHM法:1)右葉グラフトは右一次グリソン+G1r,左葉系グラフトは左一次グリソン+G1lを一括確保.2)胆管造影により切離予定位置をマーキング.3)右葉,左葉+尾状葉グラフトは尾状葉峡部背側~IVC前面~右,中肝静脈間をテーピング,左葉,外側区域グラフトは門脈臍部のArantius管起始部末梢側(*)で左一次グリソンを一括確保し,右,中肝静脈間から*へテープを誘導.4)テープをガイドとし...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 56; no. Supplement; p. s286
Main Authors 嶋田, 圭太, 門久, 政司, 日比, 泰造, 蛭川, 和也, 菅原, 寧彦, 平尾, 洸樹, 磯野, 香織, 奥村, 祐生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.56.Supplement_s286

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Summary:【背景】生体ドナー肝切除の術後胆汁漏の根絶を目指し,当科では2017年よりglissonean approach + liver hanging maneuver法(GA+LHM法)を導入した.【方法】GA+LHM法:1)右葉グラフトは右一次グリソン+G1r,左葉系グラフトは左一次グリソン+G1lを一括確保.2)胆管造影により切離予定位置をマーキング.3)右葉,左葉+尾状葉グラフトは尾状葉峡部背側~IVC前面~右,中肝静脈間をテーピング,左葉,外側区域グラフトは門脈臍部のArantius管起始部末梢側(*)で左一次グリソンを一括確保し,右,中肝静脈間から*へテープを誘導.4)テープをガイドとして肝実質を離断.5)左葉,外側区域グラフトでは左一次グリソン+G1lのテープから左一次グリソンを引き算し,残ったG1lを処理.6)肝離断終了後にグラフト肝側の肝動脈,門脈,胆管を含む肝門板を個別に確保,胆管造影後に肝門部脈管を切離,続いて肝静脈を切離しグラフト肝摘出.当科の生体ドナー肝切除におけるGA+LHM法の有用性を評価すべくClavien–Dindo分類に従い術後短期成績を解析した.胆汁漏の診断はISGLSの定義に従った.【結果】GA+LHM法は41名すべて(右肝25例,左肝15例,左肝3区域+尾状葉1例)で安全に施行可能で初回退院までIIIa以上の合併症なく,胆汁漏の発生を認めず.1例(2%)で胆管狭窄を来し,再入院後に内視鏡下ステント留置を要した.【考察】GA+LHM法は肝門板周囲の剥離を必要最小限に留めることで,残肝胆管の熱損傷・機械的損傷を回避し胆汁漏を根絶し得る.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.Supplement_s286