当科における脳死肝移植登録患者の検討

【はじめに】本邦の脳死肝移植のallocation systemがMELD制に変わって、より重症患者にグラフトが配分されるようになったが、timelyにドナーが出現しなければ移植のタイミングを逃すことになる。当科では生体ドナー候補がいる場合は生体肝移植の準備をしつつ脳死ドナーの出現を待ち、出現しなければ生体に切り替えているが、生体ドナー候補がおらず移植待機中に亡くなる患者は多い。【対象と方法】2014年7月~2021年4月までに当科で脳死登録を行った33症例を対象に、登録時MELD、待機期間、転帰などを検討した。MELD制導入前の登録患者が28例、MELD制導入後が5例であった。【結果】33症...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 56; no. Supplement; p. s494
Main Authors 田村, 圭, 坂元, 克考, 船水, 尚武, 新恵, 幹也, 高田, 泰次, 小川, 晃平, 宇都宮, 健, 浦岡, 未央
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.56.Supplement_s494

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Summary:【はじめに】本邦の脳死肝移植のallocation systemがMELD制に変わって、より重症患者にグラフトが配分されるようになったが、timelyにドナーが出現しなければ移植のタイミングを逃すことになる。当科では生体ドナー候補がいる場合は生体肝移植の準備をしつつ脳死ドナーの出現を待ち、出現しなければ生体に切り替えているが、生体ドナー候補がおらず移植待機中に亡くなる患者は多い。【対象と方法】2014年7月~2021年4月までに当科で脳死登録を行った33症例を対象に、登録時MELD、待機期間、転帰などを検討した。MELD制導入前の登録患者が28例、MELD制導入後が5例であった。【結果】33症例の内訳はStatus I 3例、Status II 30例、生体ドナー候補者がいたのは9例であった。Status Iの2例で脳死肝移植、1例で生体肝移植を施行した。Status II症例の登録時MELD(中央値)は18(11~36)、待機期間(中央値)は188日(2~1382日)、2例で脳死肝移植、3例で生体肝移植を施行、18例が待機中に死亡、2例が肝細胞癌進行により取消、ウィルソン病の1例が肝機能改善にて取消、残る4例が待機中である。登録時MELDが25以上の症例で移植に至らなかった6例は25日(中央値)で死亡していた。【結語】MELD制になっても待機中に死亡する症例は多く、生体のオプションは必要であると思われた。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.Supplement_s494