在宅医療として腎移植患者を管理することの課題について
腎移植はその数および質において目覚ましい発展を遂げており最近では20年から30年の長期移植腎生着患者も存在する。しかし、長期生着・長期生存の時代であるからこそ、悪性腫瘍や脳血管障害を来す患者も増えている。また腎移植患者の高齢化が進んでおり、2ヶ月に一度の定期外来通院が困難な患者も増えている。当院では現在はまだ在宅診療を行っている腎移植患者はほとんどいないが、今後も移植患者の高齢化や介護者の高齢化によって在宅医療や訪問診療による腎移植患者管理が必要となる時代が来ると考えられる。しかし、現状では急性期疾患の治療後に療養型病院に転院する時ですら腎移植患者は免疫抑制剤を内服しているからといって敬遠され...
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Published in | 移植 Vol. 56; no. Supplement; p. s58 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2021
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Summary: | 腎移植はその数および質において目覚ましい発展を遂げており最近では20年から30年の長期移植腎生着患者も存在する。しかし、長期生着・長期生存の時代であるからこそ、悪性腫瘍や脳血管障害を来す患者も増えている。また腎移植患者の高齢化が進んでおり、2ヶ月に一度の定期外来通院が困難な患者も増えている。当院では現在はまだ在宅診療を行っている腎移植患者はほとんどいないが、今後も移植患者の高齢化や介護者の高齢化によって在宅医療や訪問診療による腎移植患者管理が必要となる時代が来ると考えられる。しかし、現状では急性期疾患の治療後に療養型病院に転院する時ですら腎移植患者は免疫抑制剤を内服しているからといって敬遠され、なかなか転院先が見つからないということを経験する。 これが在宅診療や老健施設での管理となると更にケアマネージャーや往診医との連携も必要となりより困難な状況となる。今後さらに腎移植患者が増えれば外来の待ち時間がより長くなり、益々外来受診が困難となっていく。腎移植で在宅医療を目指すには、多職種を含めた管理システムを構築すること、免疫抑制剤を往診医でも処方できるような制度の変更などが必要であろう。また緊急入院への対応も必要であるため往診医と連携病院とのネットワークを利用した患者情報の共有などが必要になる。コロナ禍で病院への受診が困難な状況である今こそ真剣に考える時期である。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.56.Supplement_s58 |