原発性免疫不全症候群に関する最近の話題 厚生省特定疾患原発性免疫不全症候群調査研究班の研究成果を中心に

厚生省特定疾患原発性免疫不全症候群調査研究班は, 昭和49年の発足から一貫して原発性免疫不全症候群の疫学調査, 責任遺伝子および病態の解明, 新しい遺伝子診断法や治療法の開発, QOLの改善などに大きく貢献してきた. 責任遺伝子の解明によって, 病因が明らかになるとともに, 遺伝子診断法や治療法の開発に途を開くことができる. さらに, 正確な診断法の開発は, 本研究班が従来から行ってきている疫学調査の信憑性も一段と高めるものと思われる. 原発性免疫不全症候群には30種類を超える疾患があり, 10年前までは, 責任遺伝子が解明されたのはそのごく一部になかった. 多くの疾患は適切な治療なくしては致...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 24; no. 6; pp. 327 - 335
Main Authors 上松, 一永, 小宮山, 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 31.12.2001
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.24.327

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Summary:厚生省特定疾患原発性免疫不全症候群調査研究班は, 昭和49年の発足から一貫して原発性免疫不全症候群の疫学調査, 責任遺伝子および病態の解明, 新しい遺伝子診断法や治療法の開発, QOLの改善などに大きく貢献してきた. 責任遺伝子の解明によって, 病因が明らかになるとともに, 遺伝子診断法や治療法の開発に途を開くことができる. さらに, 正確な診断法の開発は, 本研究班が従来から行ってきている疫学調査の信憑性も一段と高めるものと思われる. 原発性免疫不全症候群には30種類を超える疾患があり, 10年前までは, 責任遺伝子が解明されたのはそのごく一部になかった. 多くの疾患は適切な治療なくしては致死的であり, 一層の診断治療法の改良が待たれていた. この10年間に, 遺伝子工学の進歩によって主な原発性免疫不全症候群の責任遺伝子が相次いで発見され, これまで曖昧な診断をうけていた免疫不全症が確実に診断できるようになった. 原発性免疫不全症候群における最近の知見として, 新たな責任遺伝子の発見, 簡易診断法の確立ならびに根治治療を中心に原発性免疫不全症候群調査研究班の活動を踏まえ概説する.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.24.327