MCV内での通電が有効であった房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)の1例

症例は16歳男性.電気生理学的検査にて,順伝導は房室結節二重伝導路を,逆伝導はHis束と冠静脈近位部が最早期の伝導を認めた.頻拍は順伝導のjump upを伴い誘発され,頻拍中の逆伝導は冠静脈洞近位部が最早期心房興奮(EAA)部位であった.頻拍中の心室単発刺激にて心房早期捕捉現象を認めず,頻拍中に2:1の房室ブロックの所見を認めた.Differential atrial overdrive pacing等の諸検査より頻拍は遅伝導路を逆伝導とする房室結節リエントリー性頻拍と診断した.心室刺激では頻拍に関与する逆伝導が安定して得られなかったため,頻拍中のEAA部位のマッピングを行う方針とした.しかし...

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Published inShinzo Vol. 48; no. SUPPL.2; p. 63
Main Authors 上岡, 亮, 橘, 元見, 渡邊, 敦之, 中川, 晃志, 森田, 宏, 津島, 翔, 伊藤, 浩, 西井, 伸洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 30.12.2016
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.48.63

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Summary:症例は16歳男性.電気生理学的検査にて,順伝導は房室結節二重伝導路を,逆伝導はHis束と冠静脈近位部が最早期の伝導を認めた.頻拍は順伝導のjump upを伴い誘発され,頻拍中の逆伝導は冠静脈洞近位部が最早期心房興奮(EAA)部位であった.頻拍中の心室単発刺激にて心房早期捕捉現象を認めず,頻拍中に2:1の房室ブロックの所見を認めた.Differential atrial overdrive pacing等の諸検査より頻拍は遅伝導路を逆伝導とする房室結節リエントリー性頻拍と診断した.心室刺激では頻拍に関与する逆伝導が安定して得られなかったため,頻拍中のEAA部位のマッピングを行う方針とした.しかし両心房内,CS入口部付近での通電は無効でMCV内の最も先行するEAA部位での通電にて頻拍は停止,接合部調律の出現を認めた.以後,頻拍は誘発されなくなり終了した.本症例は,逆伝導を有する遅伝導路がMCV内に存在した稀なAVNRT症例と考え報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.48.63