利根川上流における河川水中の134Cs及び137Csの放射能濃度

2011年12月から2012年12月までの1年間,利根川上流域で河川水を採取し,河川水中の放射性セシウム(134Csと137Cs)濃度を測定した.その結果,4月から5月の雪解けと降雨により,平水時に比べて最大で10倍高い濃度を観測した.また,雪解けによる水位上昇時の降雨と台風4号(Guchol: T1204)の降雨の影響を除くと,河川水の放射性セシウム濃度と水位・濁度との間に正の相関関係が存在した.この結果は,河川流域に沈着した放射性セシウムは,雪解けにより河川流域から河川への粒子態セシウムの流出量が増加することを示唆している.一方,雪解けによる水位上昇時と台風通過時の降雨においては,他の起源...

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Published in分析化学 Vol. 66; no. 4; pp. 243 - 249
Main Authors 鈴木, 究真, 井上, 睦夫, 長尾, 誠也, 金森, 正樹, 落合, 伸也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2017
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.66.243

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Summary:2011年12月から2012年12月までの1年間,利根川上流域で河川水を採取し,河川水中の放射性セシウム(134Csと137Cs)濃度を測定した.その結果,4月から5月の雪解けと降雨により,平水時に比べて最大で10倍高い濃度を観測した.また,雪解けによる水位上昇時の降雨と台風4号(Guchol: T1204)の降雨の影響を除くと,河川水の放射性セシウム濃度と水位・濁度との間に正の相関関係が存在した.この結果は,河川流域に沈着した放射性セシウムは,雪解けにより河川流域から河川への粒子態セシウムの流出量が増加することを示唆している.一方,雪解けによる水位上昇時と台風通過時の降雨においては,他の起源からの懸濁粒子が負荷された可能性が考えられる.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.66.243