胸水に異型細胞を認めたアグレッシブNK細胞白血病の1例
アグレッシブNK細胞白血病(aggressive NK-cell leukemia :ANKL)は成熟型のNK細胞に由来すると考えられている極めてまれな腫瘍である。今回我々は、胸水細胞診にて異型細胞を認め、精査の結果、ANKLと診断された症例を経験したので報告する。症例は36歳、女性。呼吸苦が出現し、当院の救急外来を受診した。来院時CTにて両側に大量胸水を認め、胸水細胞診が行われた。胸水細胞診では、パパニコロウ染色にて小型リンパ球を背景に、核腫大や核形 不整を示す異型細胞を孤在性に認めた。ギムザ染色では、核腫大を示す好塩基性細胞やアズール顆粒を複数個有する細胞を認めた。胸水フローサイトメトリに...
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Published in | 神戸市立病院紀要 Vol. 63; pp. 25 - 29 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
地方独立行政法人 神戸市民病院機構
2025
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ISSN | 0286-455X 2434-7590 |
DOI | 10.32301/kobecityhospital.63.0_25 |
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Summary: | アグレッシブNK細胞白血病(aggressive NK-cell leukemia :ANKL)は成熟型のNK細胞に由来すると考えられている極めてまれな腫瘍である。今回我々は、胸水細胞診にて異型細胞を認め、精査の結果、ANKLと診断された症例を経験したので報告する。症例は36歳、女性。呼吸苦が出現し、当院の救急外来を受診した。来院時CTにて両側に大量胸水を認め、胸水細胞診が行われた。胸水細胞診では、パパニコロウ染色にて小型リンパ球を背景に、核腫大や核形 不整を示す異型細胞を孤在性に認めた。ギムザ染色では、核腫大を示す好塩基性細胞やアズール顆粒を複数個有する細胞を認めた。胸水フローサイトメトリにてCD2(+)、CD3(-)、CD56(+)であった。転院先で作製された胸水セルブロックの免疫染色ではCD3(+)、CD56(+)、granzyme B(+)、EBER-ISH(+)であった。以上よりT/NK細胞リンパ腫であること、また全身性に浸潤していることからANKLと診断された。細胞診においてギムザ染色でアズール顆粒を複数個有する大型リンパ球を認めた際は、ANKLを念頭に置いて鏡検する必要があると考える。 |
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ISSN: | 0286-455X 2434-7590 |
DOI: | 10.32301/kobecityhospital.63.0_25 |