当院における予防事業の取り組みについて

【目的】  当院では平成14年度から笛吹市社会福祉協議会が運営する地域福祉事業「いきいきサロン」に於て、参加型転倒予防教室を開催してきた。平成17年度から定期開催・評価{初回・最終回(以下3ヵ月後)・最終回後半年(以下9ヵ月後)の評価とアンケート}を行なった。今回、当事業をより効果的に行なう為に結果を分析・考察したのでここに報告する。 【方法】  対象は参加者(25名)のうち全ての評価(身長・体重・BMI・2分間足踏み・ファンクショナルリーチ・開眼片脚立ち・体前屈・Timed Up&Go Test・握力・足趾筋力)とアンケートに協力していただいた高齢者9名(男性3女性6平均年齢76.5...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 25; p. 29
Main Authors 斉藤, 成, 渡邉, 浩文, 平林, 弦大, 加藤, 研太郎, 小泉, 大, 本山, 由記
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2006
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.25.0.29.0

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Summary:【目的】  当院では平成14年度から笛吹市社会福祉協議会が運営する地域福祉事業「いきいきサロン」に於て、参加型転倒予防教室を開催してきた。平成17年度から定期開催・評価{初回・最終回(以下3ヵ月後)・最終回後半年(以下9ヵ月後)の評価とアンケート}を行なった。今回、当事業をより効果的に行なう為に結果を分析・考察したのでここに報告する。 【方法】  対象は参加者(25名)のうち全ての評価(身長・体重・BMI・2分間足踏み・ファンクショナルリーチ・開眼片脚立ち・体前屈・Timed Up&Go Test・握力・足趾筋力)とアンケートに協力していただいた高齢者9名(男性3女性6平均年齢76.5±5.5)であった。運動内容は{ストレッチ・筋力エクササイズ(以下Ex)・バランスEx}とし、初回から3ヵ月後まで週一回の頻度で指導とバランスExを行なうこととした。また3ヶ月後以降は、自宅で体操の内容を自主Exとして行なうように指導を行った。結果の分析には初回・3ヶ月後の結果と初回・9ヵ月後の結果を対応のあるt検定を用いて有意水準を0.05以下とした。 【結果】  初回・3ヵ月後・9ヵ月後の順に記載した。特に有意差の見られたものは2分間足踏み104.3±6.4回・115.1±10.4 回・119±13.8回(p<0.01)、開眼片脚立ち25±23.8秒・54.3±36.4秒・38.7±43.7秒(p<0.01)、ファンクショナルリーチ22.5±7.5cm・21.6±7.2cm・19.3±5.9cm(p<0.05)であった。全体として初回・9ヶ月後の改善率よりも初回・3ヶ月後の改善率の方が良かった。また9ヶ月後も初回よりは改善していた。そして9ヶ月後のアンケート調査の結果からは、自主Ex量に個体差があることが分かり、初回以前より外出する傾向が見られた。 【考察】  評価結果から殆ど全てに於て、3ヵ月後に改善が見られ、9ヵ月後も初回より改善している傾向が見られた。これにより、参加型転倒予防教室でも効果があり、9ヶ月後も自主Exで効果が維持されることが示唆された。特に有意差の見られた開眼片脚立ちと2分間足踏みは普段行なわない複合的な身体運動である為、定期的に行なうことで効果が得やすかったと考えられる。また、アンケートからも教室参加以前より外出するようになった等の回答があり、心理面においても良い結果が得られたとも考える。 今後の課題は自主トレにおいては個体差があったことから教室終了後の定期的な介入とより効果的で継続できる為の個別プログラムの作成が必要であると考える。
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ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.25.0.29.0