唇顎口蓋裂患者に対する顎裂部自家腸骨海綿骨移植の術後成績評価

顎裂部自家腸骨海綿骨移植を行った片側性唇顎口蓋裂20名を対象に,移植術時の移植骨重量と移植床容積を測定し,移植時の骨密度を算出した.術後1週,1カ月,3カ月,6カ月時に,アルミニウム参照体とともに移植部の口内法デンタルX線写真を撮影し,顎裂部骨架橋の上縁と下縁の高さを計測するとともに,移植骨部フィルム濃度のアルミニウム当量値を測定した.術後6カ月時の骨架橋上縁の高さが1,0以下,下縁の高さが3.0以上の症例を良好群,それ以外の症例を不良群として両群を比較し,以下の結果を得た. 1.20例中,良好群は11例,不良群は9例であった. 2.移植骨の重量および密度は良好群が不良群より有意に高かった.移...

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Published in日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 26; no. 1; pp. 55 - 67
Main Author 大河内, 孝子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 30.04.2001
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate1976.26.1_55

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Summary:顎裂部自家腸骨海綿骨移植を行った片側性唇顎口蓋裂20名を対象に,移植術時の移植骨重量と移植床容積を測定し,移植時の骨密度を算出した.術後1週,1カ月,3カ月,6カ月時に,アルミニウム参照体とともに移植部の口内法デンタルX線写真を撮影し,顎裂部骨架橋の上縁と下縁の高さを計測するとともに,移植骨部フィルム濃度のアルミニウム当量値を測定した.術後6カ月時の骨架橋上縁の高さが1,0以下,下縁の高さが3.0以上の症例を良好群,それ以外の症例を不良群として両群を比較し,以下の結果を得た. 1.20例中,良好群は11例,不良群は9例であった. 2.移植骨の重量および密度は良好群が不良群より有意に高かった.移植時の骨密度が3.Og/cm3以上の症例は11例中10例が良好群であったのに対し,3,0g/cm3以下の症例は9例中8例が不良群であった.両群の判別点は2.98g/cm3であった. 3.移植骨のAl当量値は,術後3カ月までは両群ともに低下する傾向を示した.良好群では6カ月時にわずかに上昇していたが,不良群では減少が続き,術後6カ月で良好群と不良群の問に有意差を認めた. 4.骨架橋辺縁の高さは,良好群では上縁下縁とも術後6カ月までほとんど変化しなかった.不良群の上縁は3カ月以降,下縁は6カ月で術後1週の値に比べ有意に低く,良好群との間に有意差を認めた. 5.骨架橋幅は,良好群に比し不良群が術後1週目から有意に小さく,1カ月以降差が拡大した.
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate1976.26.1_55