肝細胞癌に対する外科治療の進歩と最近のトピックス

肝細胞癌に対する治療は病態に応じて多岐にわたるが、外科治療が最も根治性に優れていることには変わりはない。本稿では主として外科治療におけるトピックスを取り上げ、その変遷と進歩を概説する。最も大きな変革は肝切除に関連する領域であり、これらは医用工学の進歩によるところが大きい。列挙すると、1)腹腔鏡下肝切除の導入と普及、2)術前シミュレーション、3)手術ナビゲーション 4)造影超音波、5)ALPPS などである。さらには我が国のデータに基づいた肝移植の適応拡大もなされた。分子標的薬そして免疫チェックポイント阻害剤の開発も目覚ましいが、外科治療にも影響を与えることであろう。さらには今後一層の発展が期待...

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Published in神戸市立病院紀要 Vol. 59; p. 1
Main Author 有井, 滋樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 地方独立行政法人 神戸市民病院機構 2021
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ISSN0286-455X
2434-7590
DOI10.32301/kobecityhospital.59.0_1

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Summary:肝細胞癌に対する治療は病態に応じて多岐にわたるが、外科治療が最も根治性に優れていることには変わりはない。本稿では主として外科治療におけるトピックスを取り上げ、その変遷と進歩を概説する。最も大きな変革は肝切除に関連する領域であり、これらは医用工学の進歩によるところが大きい。列挙すると、1)腹腔鏡下肝切除の導入と普及、2)術前シミュレーション、3)手術ナビゲーション 4)造影超音波、5)ALPPS などである。さらには我が国のデータに基づいた肝移植の適応拡大もなされた。分子標的薬そして免疫チェックポイント阻害剤の開発も目覚ましいが、外科治療にも影響を与えることであろう。さらには今後一層の発展が期待されるゲノム医療の導入は今後の臨床を変えていくと思われる。
ISSN:0286-455X
2434-7590
DOI:10.32301/kobecityhospital.59.0_1