臍帯血移植後HHV-6 脳炎に罹患し多彩な精神症状を呈した白血病の一例
造血幹細胞移植患者では、様々な要因から免疫不全状態になり脳炎などを発症する場合が多く、そのひとつとしてHuman herpesvirus( HHV)-6脳炎がある。今回われわれは臍帯血移植後にHHV-6脳炎と診断され、ウィルス陰転化後も間欠的な疼痛と掻痒、不穏が遷延した症例を経験した。症例は40 歳代男性、急性リンパ性白血病と診断され寛解導入療法と強化療法を終了後に臍帯血移植を受け、生着と完全寛解維持を確認した。移植後から両下肢の間欠的な疼痛が増悪し、辻褄のあわない言動、不眠、焦燥が出現した。髄液PCR にてHHV-6 が検出されHHV-6 脳炎と診断した。抗ウィルス薬の投与により検査上脳炎所...
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Published in | 神戸市立病院紀要 Vol. 59; p. 9 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
地方独立行政法人 神戸市民病院機構
2021
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Subjects | |
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ISSN | 0286-455X 2434-7590 |
DOI | 10.32301/kobecityhospital.59.0_9 |
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Summary: | 造血幹細胞移植患者では、様々な要因から免疫不全状態になり脳炎などを発症する場合が多く、そのひとつとしてHuman herpesvirus( HHV)-6脳炎がある。今回われわれは臍帯血移植後にHHV-6脳炎と診断され、ウィルス陰転化後も間欠的な疼痛と掻痒、不穏が遷延した症例を経験した。症例は40 歳代男性、急性リンパ性白血病と診断され寛解導入療法と強化療法を終了後に臍帯血移植を受け、生着と完全寛解維持を確認した。移植後から両下肢の間欠的な疼痛が増悪し、辻褄のあわない言動、不眠、焦燥が出現した。髄液PCR にてHHV-6 が検出されHHV-6 脳炎と診断した。抗ウィルス薬の投与により検査上脳炎所見は消退したが、間欠的に生じる激しい掻痒、疼痛を伴う精神運動興奮、失見当識や滅裂な言動が続いた。本症例は、症状は脳炎やせん妄の経過と異なり週1回ひと晩だけ出現することが特徴的であった。 |
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ISSN: | 0286-455X 2434-7590 |
DOI: | 10.32301/kobecityhospital.59.0_9 |