筋層浸潤性膀胱癌に対する膀胱全摘除術の現状と課題

膀胱癌に対する治療は多岐にわたるが、筋層浸潤性膀胱癌の標準治療は膀胱全摘除術であり、根治治療の第一選択である。膀胱全摘除術における大きな変革はロボット支援腹腔鏡手術の導入と普及、周術期化学療法におけるエビデンスの集積、新規薬剤の登場である。膀胱全摘除術時に行われる尿路変向術は、以前より回腸導管造設術が標準術式として広く行われてきた。回腸導管ではストマに採尿袋をつけて蓄尿するが、近年ストマを要せず尿道からの自排尿可能な腸管利用新膀胱造設術が行われるようになり、尿路変向術の選択肢となった。これら手術、薬物療法の進歩と洗練化により、筋層浸潤性膀胱癌の予後改善と膀胱全摘除術後のQOL向上が、より一層期...

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Published in神戸市立病院紀要 Vol. 63; pp. 1 - 9
Main Author 中村, 一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 地方独立行政法人 神戸市民病院機構 2025
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ISSN0286-455X
2434-7590
DOI10.32301/kobecityhospital.63.0_1

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Summary:膀胱癌に対する治療は多岐にわたるが、筋層浸潤性膀胱癌の標準治療は膀胱全摘除術であり、根治治療の第一選択である。膀胱全摘除術における大きな変革はロボット支援腹腔鏡手術の導入と普及、周術期化学療法におけるエビデンスの集積、新規薬剤の登場である。膀胱全摘除術時に行われる尿路変向術は、以前より回腸導管造設術が標準術式として広く行われてきた。回腸導管ではストマに採尿袋をつけて蓄尿するが、近年ストマを要せず尿道からの自排尿可能な腸管利用新膀胱造設術が行われるようになり、尿路変向術の選択肢となった。これら手術、薬物療法の進歩と洗練化により、筋層浸潤性膀胱癌の予後改善と膀胱全摘除術後のQOL向上が、より一層期待できる時代になった。本稿では筋層浸潤性膀胱癌に対する膀胱全摘除術の現状と課題を総説する。
ISSN:0286-455X
2434-7590
DOI:10.32301/kobecityhospital.63.0_1