歩行再獲得に向けての補助具検討-SAFETYWALKERの使用経験
【目的】 大腿骨近位部骨折患者の術後、医師から全荷重可と指示をもらうが、荷重に難渋するケースが多い。今回、歩行再獲得に向けSAFETYWALKERの使用が患者に与える影響について考察する。 【方法】 症例は80歳代女性であり、診断名は左大腿骨転子部骨折(骨折分類はtype1group4)、H24.1.14受傷し当日手術施行。術式はORIF(髄内釘Smith&Nephew社製INTERTAN使用)、術後翌日より可及的に全荷重可と医師から指示あり。術後患側下肢の疼痛が強く、荷重は困難であった。理学療法は術後2日目から7日目までSAFETYWALKERを用いて歩行練習(その後は荷重量が増...
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Published in | 関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 31; p. 152 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
2012
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Subjects | |
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ISSN | 0916-9946 2187-123X |
DOI | 10.14901/ptkanbloc.31.0_152 |
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Summary: | 【目的】 大腿骨近位部骨折患者の術後、医師から全荷重可と指示をもらうが、荷重に難渋するケースが多い。今回、歩行再獲得に向けSAFETYWALKERの使用が患者に与える影響について考察する。 【方法】 症例は80歳代女性であり、診断名は左大腿骨転子部骨折(骨折分類はtype1group4)、H24.1.14受傷し当日手術施行。術式はORIF(髄内釘Smith&Nephew社製INTERTAN使用)、術後翌日より可及的に全荷重可と医師から指示あり。術後患側下肢の疼痛が強く、荷重は困難であった。理学療法は術後2日目から7日目までSAFETYWALKERを用いて歩行練習(その後は荷重量が増加し痛みの訴えが減少したためU字歩行器、ピックアップ歩行器、T字杖へ順々に移行)、スリングエクササイズセラピー、関節可動域練習、起居動作練習を実施した。 本研究はヘルシンキ宣言に沿い、患者に研究内容を十分説明し同意を得た上で実施した。 【結果】 術後3日関節可動域評価(R°/L°)股関節伸展-5/-5、膝関節屈曲130/130、膝関節伸展-20/-15であった。同日の徒手筋力検査MMT(R/L)上肢筋力4/4、股関節屈曲・伸展・外転3/2、膝関節伸展4/4。そして、術後14日の静的バランスはACTIVEBALANCERを用いて計測し、総軌跡長(mm)は開眼571、閉眼1011、ロンベルグ率1.7であった。同日T字杖を使用してのTimed Up and Go Test(以下TUGT)では右回り39"57、左回り40"11であった。 退院時(術後30日)の患側股関節屈曲・伸展・外転の徒手筋力検査MMTは2から3へ、関節可動域、静的バランスに著明な変化なく、TUGT(T字杖使用)は右回り18"78、左回り19"18となり、T字杖歩行・身辺動作自立し自宅退院した。 【考察】 本研究より、SAFETYWALKERの使用が歩行再獲得に向けて有効なのではないかと感じることができた。本研究では術後の疼痛、異常筋緊張などを客観的に評価する指標がない為、数値が出ないことがやや不十分であるが、SAFETYWALKERが歩行再獲得に向けての良いきっかけとなると考えられる。また、今回の症例では視力が悪かったため、安心して歩行ができる環境を作ったことが早期にT字杖自立となった要因ではないかと考える。 【まとめ】 自分が動けるということを実感することで早期から病棟でのトイレ自立、身辺動作自立に繋がり入院期間中の廃用症候群を最小限にすることができた。また、大腿骨近位部骨折患者だけでなく、他の疾患を有する患者にもSAFETYWALKERは使用でき、多様性に富んでいる。今後は、SAFETYWALKER使用・非使用群での歩行獲得までの期間の検討、客観的な筋緊張評価指標の検討をしたい。 |
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Bibliography: | 152 |
ISSN: | 0916-9946 2187-123X |
DOI: | 10.14901/ptkanbloc.31.0_152 |