超音波音弾性法による生体内筋組織の評価に関する研究 膝伸展筋に対する測定の試み
超音波音弾性法は工業材料における組織異方性の評価や,残留応力解析に利用されている非破壊的検査法で,その伝播速度(以下音速)によって測定評価が行え,工学界においてはその理論的研究も行われ注目を集めている。この検査法の特徴は,超音波の縦波に加え横波を利用することで,より多くの組織内部の情報を知ることが出来ること,また非侵襲的に測定評価が行えること,さらに超音波自体が媒質を選ばずに伝播することから,簡易でかつ取り扱い易いこと等が挙げられる。そこで今回の研究では,この超音波音弾性法を利用して,生体内の筋組織についてこの音速による測定評価が出来ないかと考え試みた。今回,大腿直筋と中間広筋についての測定評...
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Published in | 理学療法学 Vol. 32; no. 1; pp. 49 - 55 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士学会
20.02.2005
日本理学療法士協会 |
Subjects | |
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ISSN | 0289-3770 2189-602X |
DOI | 10.15063/rigaku.KJ00003367085 |
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Summary: | 超音波音弾性法は工業材料における組織異方性の評価や,残留応力解析に利用されている非破壊的検査法で,その伝播速度(以下音速)によって測定評価が行え,工学界においてはその理論的研究も行われ注目を集めている。この検査法の特徴は,超音波の縦波に加え横波を利用することで,より多くの組織内部の情報を知ることが出来ること,また非侵襲的に測定評価が行えること,さらに超音波自体が媒質を選ばずに伝播することから,簡易でかつ取り扱い易いこと等が挙げられる。そこで今回の研究では,この超音波音弾性法を利用して,生体内の筋組織についてこの音速による測定評価が出来ないかと考え試みた。今回,大腿直筋と中間広筋についての測定評価を行った。同時に音速と膝伸展筋力との相関を分析するために筋力の測定も行った。対象群は脳血管障害後の片麻痺患者7名とし,コントロール群は20歳代健常成人8名と40歳代健常成人6名とした。その結果,コントロール群間で年齢による音速の有意差は認められなかったが,横波では音速に有意差が認められた。一方,対象群をコントロール群の平均値を基準値として音速比で比較すると,対象群の中間広筋においては理学療法施行有無による変化が認められた。また膝伸展筋力の測定結果を超音波法(音速比)と比較すると,中間広筋にその相関が認められた。これらの結果から超音波音弾性法による音速が,理学療法施行後の中間広筋の筋力回復の指標を示唆していることが考えられた。 |
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ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.KJ00003367085 |