死産により亡くした子どもに会い共に過ごす父親の体験

本研究の目的は,父親が死産により亡くした子どもと会い共に過ごすことがどのような体験であるのかを明らかにすることである。死産を経験した6名の父親に半構成面接を行い,得られたデータを質的に分析した。その結果,父親が死産により亡くした子どもと会い共に過ごす体験は,66のサブカテゴリー,23のカテゴリーから成り,『子どもを知り子どもとつながる』,『子どもの死と向き合う』,『亡くなった子どもの父親として生きる』の3コアカテゴリーで構成された。父親は,死産した子どもに会い共に過ごすことで,父親としてのアイデンティティ形成が促されると同時に子どもの死や子どもとの別れの受容が促され,子どもと過ごした記憶や思い...

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Published in日本看護研究学会雑誌 Vol. 43; no. 5; pp. 5_857 - 5_867
Main Author 十河, 由紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本看護研究学会 20.12.2020
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Summary:本研究の目的は,父親が死産により亡くした子どもと会い共に過ごすことがどのような体験であるのかを明らかにすることである。死産を経験した6名の父親に半構成面接を行い,得られたデータを質的に分析した。その結果,父親が死産により亡くした子どもと会い共に過ごす体験は,66のサブカテゴリー,23のカテゴリーから成り,『子どもを知り子どもとつながる』,『子どもの死と向き合う』,『亡くなった子どもの父親として生きる』の3コアカテゴリーで構成された。父親は,死産した子どもに会い共に過ごすことで,父親としてのアイデンティティ形成が促されると同時に子どもの死や子どもとの別れの受容が促され,子どもと過ごした記憶や思い出の品は子どもの実在が失われた後も子どもを感じる手がかりとなり父親の支えになることが示唆された。父親が限られた時間の中で子どもと関わり子どもとの思い出や遺品を残せるよう支援することが重要である。
ISSN:2188-3599
2189-6100
DOI:10.15065/jjsnr.20200430095