Goodpasture症候群と考えられた一例

【はじめに】Goodpasture症候群と考えられた稀な一例を経験したので報告する。 【症例】65歳、女性。 【主 訴】喀血、呼吸困難 【家族歴】特に 【既往歴】高血圧症などで通院加療中。99年5月と2000年4月の時点ではいずれも腎機能は正常範囲で蛋白尿も陰性であった。 【現病歴】平成12年12月25日に食欲不振による脱水の診断で内科入院。強い腎炎性尿所見を伴う急性腎不全(BUN 98.3mg/dl,Cr 7.47mg/dl)であることが判明したため、12月27日泌尿器科へ転科後、平成13年1月3日血液透析開始。そして、平成13年2月中旬頃から急速に血痰が増え、胸部X線で両側の肺出血が認めら...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 54; p. 120
Main Authors 朝倉, 健一, 北島, 正一, 矢崎, 憲二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2005
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.54.0.120.0

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Summary:【はじめに】Goodpasture症候群と考えられた稀な一例を経験したので報告する。 【症例】65歳、女性。 【主 訴】喀血、呼吸困難 【家族歴】特に 【既往歴】高血圧症などで通院加療中。99年5月と2000年4月の時点ではいずれも腎機能は正常範囲で蛋白尿も陰性であった。 【現病歴】平成12年12月25日に食欲不振による脱水の診断で内科入院。強い腎炎性尿所見を伴う急性腎不全(BUN 98.3mg/dl,Cr 7.47mg/dl)であることが判明したため、12月27日泌尿器科へ転科後、平成13年1月3日血液透析開始。そして、平成13年2月中旬頃から急速に血痰が増え、胸部X線で両側の肺出血が認められ呼吸不全状態となったため、2月13日内科に再び転科した。 【入院時現症】呼吸困難あり。血圧145/78mmHg,脈拍110/分整,体温36.5℃。 【再転科時検査成績】CRP 4.54,WBC 29800,Hb 9.1g/dl,Plt 25.5,BUN 26.6mg/dl,Cr 4.06mg/dl,UA 3.4mg/dl,Na 137mEq/l,K 3.0mEq/l,Cl 97mEq/l,Ca 10.2mg/dl, Anti-GBM Ab<3.0U/ml,ANF 160x,speckled,P-ANCA 2.1U/ml, C-ANCA 0.5U/ml,Chest Xp:massive bleeding(++), 【臨床経過】原因検索のため、1月16日に腎生検を行ない、半月体形成性腎炎の組織診断となり、蛍光所見からIgGのlinear deposits(++)が判明し、血痰もみられることから、Goodpasture症候群の診断となった。早速、ステロイドパルス療法と止血剤および抗生剤の投与を開始したが、肺出血は増大していき、2月19日ICUに入室し気管内挿管の上、レスピレーター管理を開始した。肺出血は一進一退を繰り返し、DICの合併やMRSA肺炎の併発を起こし、FOYの持続点滴や血小板輸血などを行なった。さらに、DFPPも週1回、CHDFによる持続透析も行った。その後、胸部X線では肺出血の再発はみられずにいたが、レスピレーターによる補助呼吸は継続し、ほとんど自発呼吸はみられなかった。経口摂取は不可能な状態が続いていた。12月28日早朝、急に心室細動となり蘇生に反応せず永眠。剖検の同意は得られなかった。 【考察】(1)急速進行性糸球体腎炎の存在(2)肺出血をきたしたこと(3)糸球体基底膜へのIgG線状沈着の所見からGoodpasture症候群の診断に相当するものと考えられた。対策として、血液浄化療法と免疫抑制療法を実施したが、感染症の併発もあり、救命しえなかった。
Bibliography:1J11
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.54.0.120.0