輸液ミキシング時における手洗いと調整台の清潔保持の必要性
<緒言>県北医療センター高萩協同病院での輸液ミキシングは末梢輸液,高カロリー輸液ともにスタッフステーション内の調整台で行われている。輸液中に細菌・真菌などが混入することが一つの原因となって起こるとされているカテーテル関連血流感染(以下、CRBSI)がある。NNISレポートによると,CRBSI(1992‐1999年)の起因菌は、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(以下、CNS)37%,カンジダ属8%などの弱毒菌がひき起こしているとの報告がある。患者のケアを行ったスタッフの手→不十分な手洗い・細菌汚染された調整台→輸液ミキシング行為→注射薬へのコンタミネーション→投与患者のCRBSIとなることも想定できる...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 55; p. 234 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2006
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE |
Subjects | |
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ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.55.0.234.0 |
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Summary: | <緒言>県北医療センター高萩協同病院での輸液ミキシングは末梢輸液,高カロリー輸液ともにスタッフステーション内の調整台で行われている。輸液中に細菌・真菌などが混入することが一つの原因となって起こるとされているカテーテル関連血流感染(以下、CRBSI)がある。NNISレポートによると,CRBSI(1992‐1999年)の起因菌は、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(以下、CNS)37%,カンジダ属8%などの弱毒菌がひき起こしているとの報告がある。患者のケアを行ったスタッフの手→不十分な手洗い・細菌汚染された調整台→輸液ミキシング行為→注射薬へのコンタミネーション→投与患者のCRBSIとなることも想定できる。本来であるならば輸液ミキシングはクリーンベンチ内で行うことが理想であるが,現在の状況下において最善の治療サービスを提供するために,調整台と手指の高頻度接触表面の細菌学的調査を行うこととした。 <方法>検査対象:(1)各病棟,各外来の輸液調整台,(2)各病棟,各外来の高頻度接触表面(ベット柵・ドアノブ・手すり)の細菌調査を行う。 培養方法:滅菌生食水で湿らせた滅菌綿棒で表面を全体的に拭い,それを直接,血液寒天培地とMDRS‐II培地に塗抹する。 培養条件:37℃48時間培養(好気培養) 調査日:12月、2月、3月の計3回 <結果・考察>各病棟・外来調整台よりCNS,カンジタなどが多く検出された。救急室など不特定多数の医療従事者が出入りするところでは、菌量が他のところと比べると多くみられた。また,下腿創部よりMRSAが検出された患者の部屋近くの手すりからは,MRSAが検出された。(2月検査のみ)今回の調査結果によって環境整備の徹底を行った。当院ICCの調査によると,各科の病室清掃は各個人によるものにまかせていたので,方法などばらつきがあった。輸液調整台などは各勤務帯のミキシング行為直前にアルコールでの清拭をすることとした。そして,各科に手順をパンフレットにし配布,各科統一した。高頻度接触表面は1日1回清拭を行うこととした。CDCガイドラインにおいても,経験のないスタッフが血管内カテーテルの管理・維持を行うことはカテーテルの菌定着やCRBSIの危険性を増加させる可能性もあるとされている。以上のことからも院内教育の重要性があげられる。当院ICCによる(1)新人研修,(2)ICTにおける手洗いの勉強会,(3)職員再教育,(4)血管カテーテル挿入時のマニュアルの作成,(5)病棟ラウンド,(6)病院感染症サーベランスを行うことが望ましいと思える。現在は(2)・(5)・(6)においては実践されているが,教育においてはまだ行われていないのが現状であるため早急に解決したいと思う。尚,当院は平成18年4月より新築移転し高カロリー輸液は薬剤部のクリーンルームで末梢輸液はサテライトファーマシーのクリーンベンチで行う予定である。この場合スタッフの手指衛生がとても重要になってくる。院内感染防止で手指衛生は基本であるため,教育・啓蒙をすすめていきたい。 |
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Bibliography: | 2D16 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.55.0.234.0 |