人工骨頭・人工股関節置換術後の脱臼予防に関するパンフレット活用への評価

<はじめに>人工骨頭、人工股関節置換術後の合併症の一つとして脱臼がある。看護師は、基本的な脱臼予防事項について説明していたが、口頭で説明するには、患者の理解が得られないこともあり限界があると感じた。そこで、パンフレットを作り説明することで、患者の脱臼予防についての理解を深めるのに役立てたいと思った。今回、パンフレット使用後の説明状況について看護師、患者へ調査を行なったので報告する。 <研究方法>研究期間:平成16年7月-平成17年4月 方法:人工骨頭・人工股関節置換術後の脱臼予防に関するパンフレットを作成し対象患者にパンフレットを使用し説明 当病棟看護師17名へパンフレット作成後にアンケート調...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 54; p. 183
Main Authors 根本, 梨加, 澤原, 清子, 須賀, 良子, 永井, 知恵子, 鹿島, 里美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2005
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.54.0.183.0

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Summary:<はじめに>人工骨頭、人工股関節置換術後の合併症の一つとして脱臼がある。看護師は、基本的な脱臼予防事項について説明していたが、口頭で説明するには、患者の理解が得られないこともあり限界があると感じた。そこで、パンフレットを作り説明することで、患者の脱臼予防についての理解を深めるのに役立てたいと思った。今回、パンフレット使用後の説明状況について看護師、患者へ調査を行なったので報告する。 <研究方法>研究期間:平成16年7月-平成17年4月 方法:人工骨頭・人工股関節置換術後の脱臼予防に関するパンフレットを作成し対象患者にパンフレットを使用し説明 当病棟看護師17名へパンフレット作成後にアンケート調査を実施 患者へは聞き取り調査を実施 <結果>アンケートの回収率は100%であった。パンフレット作成前、患者より脱臼予防肢位について質問されたことがあったスタッフは11名であり、時期は術後が11名であった。内容は、具体的な脱臼予防肢位や外転マットの必要性と期間についてが最も多く、また、日常生活上の注意点などがあり、説明は言葉やジェスチャーで行なっていた。パンフレット作成後、使用したスタッフは13名であり、使用したことで説明しやすくなったと答えている。13名全員は使用後メリットがあったと答えており、理由は具体的な脱臼予防肢位が理解してもらえた、であった。また、説明するのに時間がかかるというデメリットもあった。患者からは、絵があって見やすい、字が小さい部分がある、実際脱臼しやすい肢位をとらない為にはどういう動作をすべきか知りたい、などの意見があった。 <考察>看護師は、基本的な脱臼予防事項について説明しており、その他必要だと思った際、また患者より質問を受けた際にも口頭で補足説明を行なっていた。しかし、口頭での説明は後に残らず、忘れた時に思い出すことが難しいため、十分に理解することができないと考えられる。看護師は、言葉やジェスチャーを使って説明をしていたが、パンフレットを使用することで内容のズレや抜けが無く統一された説明が行なえると考えられる。術後に質問されることが多かったのは、外転マットの使用や安静など状況の変化が具体化され、不安を持つことが多くなったためと考えられる。そのため、術前よりパンフレットを使用し、術後のリスクや以後の日常生活状況も予め理解してもらう必要がある。また、字を大きくしたりカラーにしたりと、患者が見やすくなるよう工夫する、避けるべき動作だけでなく、どういう動作に変えて脱臼肢位を予防するかなど、わかりやすくなるよう改善が必要だと思った。 <おわりに>今回の調査で、パンフレットを作成し使用したことは、忘れることなく説明でき、患者も何度も確認ができるため、脱臼肢位についての理解を深めるのに役立つことがわかった。
Bibliography:1N12
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.54.0.183.0