高齢者入院患者における緊急入院症例の検討
【目的・方法】高齢者糖尿病患者は様々な合併症や慢性疾患を認める場合が多く、さらに易感染性から高齢者糖尿病の入院患者の増加が予想される。高齢者糖尿病患者の緊急入院の実態を調査することは、緊急入院を予防し、ひいてはQOL維持、向上を目的とした高齢者糖尿病管理を行うために重要と考える。そこで今回、JA吉田総合病院内科に緊急入院した2型糖尿病患者255例を対象とし、年齢により70歳未満(以下_I_群)、70~80歳未満(以下_II_群)、80歳以上(以下_III_群)の3群に分け臨床背景と治療経過を調査し比較検討を行った。【結果・考察】入院例は_I_群に比して_III_群で有意に緊急入院が多く(p=0...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 59; p. 138 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2010
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.59.0.138.0 |
Cover
Summary: | 【目的・方法】高齢者糖尿病患者は様々な合併症や慢性疾患を認める場合が多く、さらに易感染性から高齢者糖尿病の入院患者の増加が予想される。高齢者糖尿病患者の緊急入院の実態を調査することは、緊急入院を予防し、ひいてはQOL維持、向上を目的とした高齢者糖尿病管理を行うために重要と考える。そこで今回、JA吉田総合病院内科に緊急入院した2型糖尿病患者255例を対象とし、年齢により70歳未満(以下_I_群)、70~80歳未満(以下_II_群)、80歳以上(以下_III_群)の3群に分け臨床背景と治療経過を調査し比較検討を行った。【結果・考察】入院例は_I_群に比して_III_群で有意に緊急入院が多く(p=0.003)、平均入院期間においても_III_群で有意に入院期間が長い結果となった。(p=0.029)さらに_III_群では死亡例が多く、死亡例の入院原因は感染症が12例と最も多く、次いで脳血管障害4例であった。入院原因はどの群においても感染症が最も多く_I_群に比べて_II_群および_III_群で有意に多かった。(p=0.007), (p=0.034) 感染症の内訳は、各群とも呼吸器感染症が最も多く、次いで尿路感染症の順であった。感染症例にてインスリンが開始、必要量が増量となった症例は、年齢とともに増加し、_III_群で最も多かった。低血糖での緊急入院例では_III_群で最も多く、低血糖入院例はほぼ重症低血糖であった。その原因としては食事摂取不足、アルコール摂取が影響した可能性、治療薬の過剰投与が推測された。このうち_III_群の2名が独居であり、5名が認知機能障害を認め、治療状況はほとんどが経口血糖降下薬での治療例であった。高齢者糖尿病患者は年齢とともに緊急入院患者は増加し、入院期間は長かった。高齢者では多種の基礎疾患を有し、生体機能も低下していることから重症化しやすく、予後が不良であるため早期の発見、受診が重要と考える。 |
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Bibliography: | P1-C1-1 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.59.0.138.0 |