当院における夜間糖尿病教室の実施状況とその有用性についての見当

〈はじめに〉糖尿病は自己管理の病気であるといわれているように患者自身が治療法を十分に理解し実行していく必要がある。当院では教育入院による糖尿病教室を毎月開講し、地域の患者教育に努めてきたが、働く世代にとっては日中の糖尿病教室は利便性に乏しく、加えて2週間の入院期間は経済的負担の増大や休暇取得の困難な状況をもたらしていた。そこで、土日や夜間を利用した短期の糖尿病教室に有用性が期待され、患者さんの「食事が一番大変」という切なる声を参考に、仕事をしている人でも気軽に参加でき、実際に日常生活に生かせる、食事を中心とした『夜間糖尿病教室』を平成16年10月より開講した。 医師をはじめ、糖尿病療養指導士、...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 56; p. 351
Main Authors 齋藤, 文恵, 小野寺, みつ江, 渡部, 早苗, 馬目, 太永, 草野, 良郎, 西山, 幸江, 酒井, 恵美, 細谷, 英作, 林, 晃, 重富, 秀一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2007
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.56.0.351.0

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Summary:〈はじめに〉糖尿病は自己管理の病気であるといわれているように患者自身が治療法を十分に理解し実行していく必要がある。当院では教育入院による糖尿病教室を毎月開講し、地域の患者教育に努めてきたが、働く世代にとっては日中の糖尿病教室は利便性に乏しく、加えて2週間の入院期間は経済的負担の増大や休暇取得の困難な状況をもたらしていた。そこで、土日や夜間を利用した短期の糖尿病教室に有用性が期待され、患者さんの「食事が一番大変」という切なる声を参考に、仕事をしている人でも気軽に参加でき、実際に日常生活に生かせる、食事を中心とした『夜間糖尿病教室』を平成16年10月より開講した。 医師をはじめ、糖尿病療養指導士、その他の医療スタッフが、糖尿病に対し積極的な関心が向くような楽しい実践型の糖尿病教室を目指し患者支援している現状と、その有用性・問題点について、考察を加え報告する。(内容)教室は毎月1回第4木曜日の18:00~20:00とし、当院に通院中の患者および家族15名以下を対象とした。参加費は食事代として一人800円を徴収し、次回受診時に各種保険に応じた集団栄養指導料を請求している。教室の内容は、タイムスケジュールを作り、身長・体重測定、食前血糖測定、食事指導(個人にあった食事量を弁当やバイキング形式で提供)、グループワーク、医師による講話、糖尿病療養指導士による指導、質疑応答などを盛り込んでいる。スタッフミーティングは、実施日の1週間前に事前の打ち合わせを行い、患者情報の共有や準備物の確認等を行っている。また教室終了後に反省および評価、次回の予定等を協議している。〈方法〉平成16年10月~平成19年4月までの教室受講者数を年代別に比較し、働く世代の参加状況を見た。また、1年以上の継続受講者8名について、受講前・受講半年後・受講1年後のHbA1cの変化を比較した。〈結果と考察〉平成16年10月~平成19年4月までの教室受講者数287名のうち30代は10.8%、40代は13.2%、50代は34.5%、60代は27.9%、70代は13.6%を占めていた。当初は働く世代対象の夜間糖尿病教室の開講であったが、意に反し働く世代は全体の6割弱にとどまった。家事や仕事に追われ病気を自覚する余裕のない働く世代の支援方法の検討はこれからも必要と思われた。また、気軽に参加できる糖尿病教室は60代以上も必要としていたことがわかった。継続受講者8名のHbA1cの平均値は教室の受講前7.57%、受講後半年6.91%、受講後1年7.12%とわずかではあるが低下傾向が見られた。また受講者からは具体的な指導でわかりやすい、スタッフや他患との情報交換が出きる、年1回でも出席すると食事療法の見直しができるといった意見が聞かれた。
Bibliography:2F415
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.56.0.351.0