銀塩写真感光材料の感度調節による放射線飛跡の弁別検出

原子核乾板による放射線飛跡検出において,ノイズと区別してシグナルとなる飛跡のみを選択的に検出することを試みた. ノイズとなる放射線の方がエネルギーロスが小さい場合,塗布前の乳剤に減感剤を加えて感度を変えることで,ノイズの生成を抑えることができる.減感剤としてフェノサフラニンとテトラゾリウム化合物を用いた.フェノサフラニンの方がより少量で強い減感作用を示したが,添加量の増大に伴いカブリの発生を生じた.テトラゾリウム化合物はより多量の添加量を要するが,充分な減感を示し,またカブリも減少した.高エネルギーの炭素イオンに対して,適度なテトラゾリウム化合物の添加により,ノイズを消去して飛跡を記録すること...

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Published in日本写真学会誌 Vol. 79; no. 4; pp. 376 - 381
Main Authors 稲葉, 俊喜, 鈴木, 秀祐, 久下, 謙一, 小平, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本写真学会 2016
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ISSN0369-5662
1884-5932
DOI10.11454/photogrst.79.376

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Summary:原子核乾板による放射線飛跡検出において,ノイズと区別してシグナルとなる飛跡のみを選択的に検出することを試みた. ノイズとなる放射線の方がエネルギーロスが小さい場合,塗布前の乳剤に減感剤を加えて感度を変えることで,ノイズの生成を抑えることができる.減感剤としてフェノサフラニンとテトラゾリウム化合物を用いた.フェノサフラニンの方がより少量で強い減感作用を示したが,添加量の増大に伴いカブリの発生を生じた.テトラゾリウム化合物はより多量の添加量を要するが,充分な減感を示し,またカブリも減少した.高エネルギーの炭素イオンに対して,適度なテトラゾリウム化合物の添加により,ノイズを消去して飛跡を記録することができた.
ISSN:0369-5662
1884-5932
DOI:10.11454/photogrst.79.376