DPC病院における看護師の役割
1.はじめに 日本の急性期医療は、一連の診療行為をひとまとめにして支払う包括評価支払い(DPC)への移行が検討され、平成15年から大学病院、特定機能病院に導入された。当院においても検討され、平成18年4月から参加となった。今回導入にあたりクリニカルパス専任看護師の関わりを中心に報告する。2.DPC導入の経緯 平成10年より急性期入院医療の定額払い方式の調査協力に参加。平成16年度からの導入を目指したが、意思統一が図れず、準備不足のため試行適応は見送られる。DPC委員会の立ち上げにより準備が進められ、平成18年4月からDPC導入病院となる。3.DPC導入に際しての看護部の活動1)平成14年よりD...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 56; p. 16 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2007
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.56.0.16.0 |
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Summary: | 1.はじめに 日本の急性期医療は、一連の診療行為をひとまとめにして支払う包括評価支払い(DPC)への移行が検討され、平成15年から大学病院、特定機能病院に導入された。当院においても検討され、平成18年4月から参加となった。今回導入にあたりクリニカルパス専任看護師の関わりを中心に報告する。2.DPC導入の経緯 平成10年より急性期入院医療の定額払い方式の調査協力に参加。平成16年度からの導入を目指したが、意思統一が図れず、準備不足のため試行適応は見送られる。DPC委員会の立ち上げにより準備が進められ、平成18年4月からDPC導入病院となる。3.DPC導入に際しての看護部の活動1)平成14年よりDPC調査に参加し、入退院時ADL、退院時JCS、喫煙調査の入力を実施。2)クリニカルパスの充実 DPC導入に向け、DPC対応のクリニカルパスに改定を行った。3)外来業務の改善 入院期間の短縮に伴い、外来での入退院のマネジメントが必要となることから業務内容の見直し、術前検査の中央化などの検討を行った。4)看護体系(7:1)導入に向けての準備 看護師確保に向けての検討、リクルート活動を開始した。5)入院病棟においての看護度調査の実施(平成17年 平成18年 年1回)4.クリニカルパス充実にむけてDPC導入に際しては、クリニカルパスの充実が求められ、DPC導入と同時に専任看護師が配属となった。業務内容として、DPC対応パス作成の支援、改定、外来から入院の説明を患者パスを使用しての説明業務、パスの管理、パスの使用状況の把握、スタッフ教育、連携パスの作成支援などである。1)DPC対応パスの作成支援 これまで入院後に行っていた術前検査等を外来に移行するにあたり担当医はもとより外来検査部門、外来、病棟との調整役となることによりスムーズな移行が行え、入院期間の短縮をした。2)外来にて入院説明業務 予定入院の患者に対しては、外来の時点から患者用パスを使用して、入院後の治療計画等を詳しく説明することにより、治療内容や日程等を納得し、安心して入院治療を受けていただけるようにしている。また主治医と患者、麻酔科医と主治医、麻酔科医と患者等の橋渡しとしての役割を果たすことで、安全で安心して手術、検査、治療を受けていただくという意味では、患者満足度のアップにつながっている。3)パスの使用状況の把握 平成18年度の使用率は全体で38%であり、今後使用率アップにつながるようパスの見直しをする必要がある。4)連携パスの作成支援 医療圏などの問題から連携パスはなかなか進んでいないのが現状であるが、CPAP導入後の連携パス、分院から使用する幽門側胃切除パスの作成をおこなった。今後も使用範囲を広げると伴に連携パスの作成の必要性を感じる。5.今後の課題パス専任看護師としてDPC導入後パスを中心にさまざまな活動を行ってきた。パス専任看護師を置くことで院内のパスの管理や質の向上、各部門との調整などが以前よりスムーズに行えるようになった。しかしコスト意識、エビデンス、標準化といった点においては今後も検討をしていく必要がある。そしてその先にはまず患者にとって「安全で安心して治療が受けられる」という「患者中心の医療」の心を変えることなく、看護師としてチーム医療を推進していくことが、医療の質の向上に結びついていくと考える。 |
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Bibliography: | 1B16 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.56.0.16.0 |