内服自己管理における実態を知る

<はじめに>わが国も高齢化社会を迎え、当病棟入院患者も高齢者世帯が多く見られる。そして、内服薬での疾患管理をしている患者がほとんどである。入院前に内服薬を自己管理していた高齢者患者が飲み忘れ、用量の間違いなどにより残薬数が合わないことがあり、看護師管理となることが多い。今回、その実態を知るためにアンケートを行い検証した。               <結果>(1)患者背景は65歳以上の患者。仕事をしている患者は少なかった。        (2)あなたは処方された薬を指示されたとおり飲んでいますかという問いでは、「きっちり内服している」が10名、「時々忘れる」が6名、「内服していない」は0名。 ...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 56; p. 86
Main Author 田辺, 加奈子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2007
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.56.0.86.0

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Summary:<はじめに>わが国も高齢化社会を迎え、当病棟入院患者も高齢者世帯が多く見られる。そして、内服薬での疾患管理をしている患者がほとんどである。入院前に内服薬を自己管理していた高齢者患者が飲み忘れ、用量の間違いなどにより残薬数が合わないことがあり、看護師管理となることが多い。今回、その実態を知るためにアンケートを行い検証した。               <結果>(1)患者背景は65歳以上の患者。仕事をしている患者は少なかった。        (2)あなたは処方された薬を指示されたとおり飲んでいますかという問いでは、「きっちり内服している」が10名、「時々忘れる」が6名、「内服していない」は0名。             (3)薬を内服しなかった理由は、「うっかり忘れた」、「外出先で飲み忘れた」が多く、次に「時間が遅れて飲まなかった」、「外出先への持ち忘れ」が多かった。                (4)あなたの薬は何種類ありますか、薬の量についてどう思いますかという問いでは、5種類以上が最も多く、薬の量については、「ちょうど良いと思う」の回答が1番多かった。       (5)薬の内容や飲み方について医師より説明を聞いていますか、という問いに対して「よく聞いている」が7割以上であった。しかし、内服処方の際、必ず医師や薬剤師から説明があると思われるが、6人に1人は説明を受けていないと感じている。                    <考察>65歳以上の自立している患者は、自宅でうっかり飲み忘れた、または外出先で飲み忘れていたり、持ち忘れていたりしていたパターンが多いという結果になった。一般的に生理的機能の低下が見られる高齢者では「うっかり飲み忘れる」リスクが高くなると考えられる。今回アンケートを依頼する際「きちんときっちり内服している」と言っている患者も多く見受けられた。しかし、看護師が入院時、持参薬の残薬を数えたところ、そう答えた方の多くは数が合わないことが多かった。高齢者は、自分できちんと管理できていると思い込み、間違って内服していたり重複して内服している方も多いのではないかと考えられる。種類も5種類以上という回答が多かったことからも種類が多ければ多いほど、その管理は複雑になると考えられる。               入院中は看護師管理であった方でも、退院の際、看護としては何も働きかけがないまま、また同じ状況で自宅で自己管理していく現状がある。退院が決まると、内服について医師や薬剤師から指導が入るが、アンケートの結果から、説明を受けたがあまり聞いていない、あるいは聞いていないという回答もあった。看護師は再度理解したかどうか確認したり、退院後はどのような状況で内服管理をしていくのか、その患者の個々の理解度、能力、家庭環境を知り、看護として関わることも今後必要と考えられる。
Bibliography:1E13
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.56.0.86.0