双口式回腸瘻造設+大腸洗浄にて大腸亜全摘を回避しえた劇症型Clostridium difficile腸炎の1例

症例は71歳の男性で,敗血症性ショックの状態で当施設へ搬送された.同日,試験開腹を施行したが,炎症性腹水のみの手術所見であった.術後も敗血症性ショックが遷延したため,感染源の検索として造影CTを行い,大腸全域にわたる壁肥厚を認めた.Clostridium difficle(以下,CDと略記)腸炎の既往と高度な白血球増多を認め,さらに下部消化管内視鏡検査では偽膜形成を認めたため,CD腸炎による敗血症性ショックの診断に至った.入院4日目に双口式回腸瘻造設+大腸洗浄を施行し,術後は回腸瘻から大腸側へのバンコマイシン投与を14日間継続した.術後経過は良好で,術後27日目にICUを退室し,術後56日目に...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 46; no. 12; pp. 938 - 944
Main Authors 樫村, 暢一, 岡田, 尚也, 小澤, 博嗣, 中村, 透, 高田, 実, 安保, 義恭, 中村, 文隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2013
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2013.0085

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Summary:症例は71歳の男性で,敗血症性ショックの状態で当施設へ搬送された.同日,試験開腹を施行したが,炎症性腹水のみの手術所見であった.術後も敗血症性ショックが遷延したため,感染源の検索として造影CTを行い,大腸全域にわたる壁肥厚を認めた.Clostridium difficle(以下,CDと略記)腸炎の既往と高度な白血球増多を認め,さらに下部消化管内視鏡検査では偽膜形成を認めたため,CD腸炎による敗血症性ショックの診断に至った.入院4日目に双口式回腸瘻造設+大腸洗浄を施行し,術後は回腸瘻から大腸側へのバンコマイシン投与を14日間継続した.術後経過は良好で,術後27日目にICUを退室し,術後56日目にリハビリ継続目的で転院した.CD腸炎に対する外科的治療は大腸亜全摘+回腸瘻造設が標準であるが,今回,我々は双口式回腸瘻造設+大腸洗浄を施行し,大腸亜全摘を回避しえたので,報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2013.0085