頸椎前方固定術後に合併した食道穿孔の1例
症例は24歳の男性で,墜落外傷による頸椎脱臼骨折に対して,自家骨移植を伴う頸椎前方固定術を施行した.術後2週間で頸部皮下膿瘍を認めたため,切開排膿ドレナージを行ったところ,唾液様の排液を認めたため食道穿孔が疑われた.食道造影で造影剤の膿瘍腔への漏出を認め,食道穿孔の診断で緊急手術を施行した.椎体前面に移植された骨片は前方に脱転しており,骨片の大きさに一致して長径3 cmの食道穿孔を認めた.移植骨による圧挫が原因の穿孔が疑われたため,整形外科医師に依頼し骨片は除去の方針とし,穿孔部の単純全層縫合術および洗浄ドレナージを施行した.術後縫合不全を来し保存的加療を有したものの,経口摂取が可能になるまで...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 49; no. 7; pp. 594 - 601 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2016
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2015.0091 |
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Summary: | 症例は24歳の男性で,墜落外傷による頸椎脱臼骨折に対して,自家骨移植を伴う頸椎前方固定術を施行した.術後2週間で頸部皮下膿瘍を認めたため,切開排膿ドレナージを行ったところ,唾液様の排液を認めたため食道穿孔が疑われた.食道造影で造影剤の膿瘍腔への漏出を認め,食道穿孔の診断で緊急手術を施行した.椎体前面に移植された骨片は前方に脱転しており,骨片の大きさに一致して長径3 cmの食道穿孔を認めた.移植骨による圧挫が原因の穿孔が疑われたため,整形外科医師に依頼し骨片は除去の方針とし,穿孔部の単純全層縫合術および洗浄ドレナージを施行した.術後縫合不全を来し保存的加療を有したものの,経口摂取が可能になるまで回復した.頸椎前方固定術に合併した食道穿孔の報告例はまれであり,報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2015.0091 |