D-ペニシラミン治療中に選択的IgA欠損症をきたしたRAの1症例

47歳, 女性のRA患者がD-ペニシラミン療法を受けたところ, 著効を呈したが, 血清IgA値が, 0.5mg/dlにまで低下し, 易感染性も出現したため, 中止された.選択的IgA欠損症によく認められる種々の免疫学的異常を検討したが, 特記すべきものは得られなかった.しかし, 患者リンパ球と健常者リンパ球をそれぞれT細胞, B細胞に分離し, PWM下にcocultureしたところ, 患者T細胞との組合わせで, 原形質内IgA産生細胞の明らかな低下が見られた.著者らのこれらの実験と文献学的報告から, D-ペニシラミンはhelper T細胞を介して, 免疫学的に作用し, 稀に選択的IgA欠損症を...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 50; no. 2; pp. 205 - 209
Main Authors 浜井, 貴人, 小林, 和夫, 井出, 宏嗣, 根岸, 雅夫, 高橋, 昭三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 1990
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.50.205

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Summary:47歳, 女性のRA患者がD-ペニシラミン療法を受けたところ, 著効を呈したが, 血清IgA値が, 0.5mg/dlにまで低下し, 易感染性も出現したため, 中止された.選択的IgA欠損症によく認められる種々の免疫学的異常を検討したが, 特記すべきものは得られなかった.しかし, 患者リンパ球と健常者リンパ球をそれぞれT細胞, B細胞に分離し, PWM下にcocultureしたところ, 患者T細胞との組合わせで, 原形質内IgA産生細胞の明らかな低下が見られた.著者らのこれらの実験と文献学的報告から, D-ペニシラミンはhelper T細胞を介して, 免疫学的に作用し, 稀に選択的IgA欠損症を誘起するものと考えられた.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.50.205