リンパ節転移を伴った盲腸gastrointestinal stromal tumorの1例

症例は65歳の女性で,右下腹部鈍痛にて来院された.CTにて回盲部の腸重積を認め,緊急手術を施行した.横行結腸中央に達する腸重積があり,徒手整復すると盲腸に腫瘍を認めた.リンパ節転移を伴う盲腸癌と診断し,D3リンパ節郭清を伴う結腸右半切除術を施行した.切除標本にて盲腸に4.5×3.8 cm大の2型腫瘍を認めた.病理組織学的検査所見ではdesmin,S-100,CD34は陰性,c-kitが強陽性で,盲腸gastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記),リンパ節転移陽性と診断された.術後8週目からイマチニブを開始したが,1か月後のCTにて多発性肝転移,腹腔内リンパ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 46; no. 2; pp. 136 - 142
Main Authors 深町, 伸, 中川, 国利, 小林, 照忠, 遠藤, 公人, 鈴木, 幸正, 小川, 仁, 手塚, 文明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2013
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Summary:症例は65歳の女性で,右下腹部鈍痛にて来院された.CTにて回盲部の腸重積を認め,緊急手術を施行した.横行結腸中央に達する腸重積があり,徒手整復すると盲腸に腫瘍を認めた.リンパ節転移を伴う盲腸癌と診断し,D3リンパ節郭清を伴う結腸右半切除術を施行した.切除標本にて盲腸に4.5×3.8 cm大の2型腫瘍を認めた.病理組織学的検査所見ではdesmin,S-100,CD34は陰性,c-kitが強陽性で,盲腸gastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記),リンパ節転移陽性と診断された.術後8週目からイマチニブを開始したが,1か月後のCTにて多発性肝転移,腹腔内リンパ節転移を認めた.スニチニブに変更し部分奏効をえるも,術後5か月半で死亡した.リンパ節転移を伴った盲腸GISTは非常にまれで,いまだ本邦報告例はない.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2012.0193