膵管癒合不全に合併した膵管内乳頭粘液性腫瘍由来膵癌と併存膵癌の重複癌の1例

膵管癒合不全に合併した膵管内乳頭粘液性腺腫(intraductal papillary mucinous neoplasm;以下,IPMNと略記)由来浸潤癌と併存膵癌の重複癌を経験したので報告する.症例は73歳の男性で,心窩部不快感を自覚し当院紹介となった.内視鏡的逆行性胆管膵管造影にて主乳頭から囊胞状に拡張したWirsung管が描出され,膵管内乳頭粘液性腫瘍を認めた.副乳頭からの造影ではSantrini管から尾部へ続く主膵管が描出され,Wirsung管との交通は認めず,膵管癒合不全と診断した.膵体部主膵管に狭窄を認めた.幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行し,病理組織学的検査にて,膵頭部病変は...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 6; pp. 408 - 415
Main Authors 上村, 健一郎, 織田, 麻琴, 中川, 直哉, 瀬尾, 信吾, 村上, 義昭, 平原, 慧, 近藤, 成, 有廣, 光司, 岡田, 健司郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.06.2021
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2019.0135

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Summary:膵管癒合不全に合併した膵管内乳頭粘液性腺腫(intraductal papillary mucinous neoplasm;以下,IPMNと略記)由来浸潤癌と併存膵癌の重複癌を経験したので報告する.症例は73歳の男性で,心窩部不快感を自覚し当院紹介となった.内視鏡的逆行性胆管膵管造影にて主乳頭から囊胞状に拡張したWirsung管が描出され,膵管内乳頭粘液性腫瘍を認めた.副乳頭からの造影ではSantrini管から尾部へ続く主膵管が描出され,Wirsung管との交通は認めず,膵管癒合不全と診断した.膵体部主膵管に狭窄を認めた.幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行し,病理組織学的検査にて,膵頭部病変はIPMN由来膵癌,膵体部病変は併存膵癌と診断された.本症例のように膵管癒合不全にIPMN由来浸潤癌とIPMN併存癌を認めるまれな場合もあり,術前に膵全体を精査し慎重に術式を決定する必要がある.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2019.0135