胃壁内巨大腫瘤を形成した胃癌の一剖検例

慢性呼吸不全で療養中の76歳, 男性に認められたBorrmann II型胃癌で胃外増殖型を示した一剖検例を経験した.腫瘤は20cm×16cm×18cmの大きさで, 表面は完全に漿膜で被われ平滑, のう腫状であった.病理組織学的には乳頭腺癌であった.胃外増殖型胃癌は胃癌の発育形態としては比較的稀な型であり, 本邦での報告例は自験例を含めて37例を数えるにすぎなかった.これら症例は腹部腫瘤で気付かれることが多く, 大きさの割には周囲臓器への直接浸潤は比較的少なく, 積極的な手術が望まれた.更に組織学的には乳頭腺癌から低分化腺癌にいたるまで多様であるが, いつれも髄様型を示すことが共通の特徴であった...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 43; no. 6; pp. 855 - 858
Main Authors 石井, 誠, 斉藤, 博文, 田代, 浩二, 藤本, 治道, 香川, 宗也, 水上, 忠弘, 高橋, 正一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 1983
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.43.855

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Summary:慢性呼吸不全で療養中の76歳, 男性に認められたBorrmann II型胃癌で胃外増殖型を示した一剖検例を経験した.腫瘤は20cm×16cm×18cmの大きさで, 表面は完全に漿膜で被われ平滑, のう腫状であった.病理組織学的には乳頭腺癌であった.胃外増殖型胃癌は胃癌の発育形態としては比較的稀な型であり, 本邦での報告例は自験例を含めて37例を数えるにすぎなかった.これら症例は腹部腫瘤で気付かれることが多く, 大きさの割には周囲臓器への直接浸潤は比較的少なく, 積極的な手術が望まれた.更に組織学的には乳頭腺癌から低分化腺癌にいたるまで多様であるが, いつれも髄様型を示すことが共通の特徴であった.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.43.855