膵体尾部脂肪置換により残膵非再建とした膵頭十二指腸切除を施行した2例

症例1は47歳の女性で,膵癌を疑う膵腫瘍に対し亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.膵尾部は脂肪置換され残膵断端の主膵管は同定できなかったため,膵管空腸吻合をせず膵断端を縫合し挙上空腸と膵実質を密着縫合した.術後に膵液漏は認めたが内分泌機能は良好で術後第33病日に退院した.術後2年5か月無再発で耐糖能良好である.症例2は46歳の男性で,慢性膵炎の既往がある膵神経内分泌腫瘍に対して亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.膵実質は脂肪置換され主膵管を同定できなかった.断端迅速組織診断にてランゲルハンス氏島細胞のみを認め主膵管は退縮していたため,膵断端を縫合閉鎖して残膵空置とした.術後Cペプチドの軽度...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 7; pp. 480 - 489
Main Authors 堀, 周太郎, 篠田, 昌宏, 八木, 洋, 北郷, 実, 眞杉, 洋平, 大島, 剛, 北川, 雄光, 阿部, 紘大, 林, 航輝, 阿部, 雄太, 益田, 悠貴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.07.2021
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2020.0059

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Summary:症例1は47歳の女性で,膵癌を疑う膵腫瘍に対し亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.膵尾部は脂肪置換され残膵断端の主膵管は同定できなかったため,膵管空腸吻合をせず膵断端を縫合し挙上空腸と膵実質を密着縫合した.術後に膵液漏は認めたが内分泌機能は良好で術後第33病日に退院した.術後2年5か月無再発で耐糖能良好である.症例2は46歳の男性で,慢性膵炎の既往がある膵神経内分泌腫瘍に対して亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.膵実質は脂肪置換され主膵管を同定できなかった.断端迅速組織診断にてランゲルハンス氏島細胞のみを認め主膵管は退縮していたため,膵断端を縫合閉鎖して残膵空置とした.術後Cペプチドの軽度低下を認め,ヒューマログ2-2-2で経過観察中である.膵体尾部脂肪置換に対する膵頭十二指腸切除は,残膵空置して可能なかぎりランゲルハンス氏島を残すことで膵全摘よりも良好な耐糖能を維持できると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2020.0059